4月上旬に、浸潤性乳管癌 大きさ:9.5mm 病期:Ⅰ サブタイプ:ルミナルAと診断され、月末に乳房温存部分切除術+センチネルリンパ節生検をしました。術前・術中の検査結果では、早期に見つかり、予後も良いタイプで、術後は恐らく放射線治療とホルモン療法と言われているのですが…今まで、情報過多にならないようにと、なるべくネット検索は避けてきていたのですが、手術が終わって少し気持ちが落ち着いてきて調べてみると、術後の病理診断で分かる核グレードによっては、術前診断が覆り、抗がん剤適用もある、という記事をいくつか目にしました。質問①このような状況で核グレードが高い可能性というのは、どのくらいあるのでしょうか。質問②ルミナルAだとKi67は低いと理解しているのですが、核グレードが3であった場合に治療はどのようになっていくのでしょうか。質問③術前と術後の病理診断の結果によって見立てが変わることは、どのくらいの確率で起こることなのでしょうか。よくあるのでしょうか。確かに、主治医からも「術後の病理診断で最終的な今後の方針が決まる」と言われています。「手術を乗り越えたことを誉めてあげて、少しゆっくりしてくださいね」とも言われ、主治医には感謝の気持ちでいます。ただ、そうは言われても…地元のクリニックでのコアニードル生検の結果が出るまでの待ち期間。癌と分かり、手術を受ける大きな病院で様々な検査をし、サブタイプ等詳しい結果が出るまでの待ち期間。そして今、最後の審判がくだされるまでの待ち期間。楽観的に待っても、心配していても、結果は変わらないと頭では分かっています。普通に振る舞って生活もしています。でも、内心はどうしてもネガティブな結果を想像して、毎回の待ち期間が苦しくて、自分では抱えきれないのに逃げられない不安からの質問であることをお許しください。申し訳ございません。ご回答頂けましたら幸いです。
術前の針生検は乳がんを治療する上で大変重要な情報を与えてくれ、おおむね乳がんの全ての情報を得たと言ってよいです。しかし、手術で摘出された乳がんの全体で、もう一度、核グレードやホルモンレセプター、Ki-67などを調べてみると数値が異なることはあり得ます。確率を数字で出すことは難しいですが、よく経験されます。
そのような時には、術前の針生検で得た情報よりも「重たい」数値があるかを確認いたします。ご指摘のように核グレードやKi-67の数値などがより高く出たら、術後に抗がん剤をおすすめするべきかの参考になります(①、③)。
サブタイプは、ホルモン受容体とKi-67の数値で決まるため、核グレードは影響されません(②)。
ご参考いただけましたら幸いです。
文責:広島共立病院乳腺外科 郷田紀子
*補足です。Ki67低値で核グレードが高いということはたびたび見かけますが、割合は施設によって違うのでどうとは言えません。が、一般的にKi67の値を優先することが多いように思います。また、腫瘍径などとも関連して治療法を決めるので、核異型度が高いだけで絶対に化学療法をするということはありません。質問者の針生検の結果や腫瘍径からは、あまり化学療法を勧めることはないように推測いたします。
文責:広島大学病院乳腺外科 角舎学行