術後HER2陽性とわかった場合の治療法は何になりますか?パージェタは必要ですか?

2023年9月28日  , 

術後しこり2つのうち一つかHER2陽性が判明しました。HER2陽性のしこりは2.9センチki33で大胸筋まで浸透してました。
脈浸潤も少しあるといわれました。
リンパ節転移なし。
前にも似た質問ありましたが、私はステージ2で、
ウィクリーパクリ12回をおえあとは、
ハーセプチンのみです。いずれホルモン治療も今後あり。
パージェタや、他の治療しなくって大丈夫なのでしょうか?
夜も寝れずなやんてます。
小さい子供いて心配で心配で再発を恐れてます。

これはよく議論になるところです。

術前にHER2陽性とわかっていれば通常は化学療法を行い、手術でがんが完全に消えていればハーセプチンのみ、消えてなければカドサイラとなっています。薬物療法に反応性がある症例は、ハーセプチンのみで十分ということですね。

術後にHER2陽性とわかるケースも多くはありませんが存在します。ガイドラインでもそのことを意識して書かれています。https://jbcs.xsrv.jp/guideline/2022/y_index/cq14/

そこには、

●再発リスクが高い場合には,トラスツズマブにペルツズマブを加えることを強く推奨する。

推奨の強さ:1,エビデンスの強さ:強,合意率:89%(34/38)


推奨におけるポイント
■APHINITY試験の層別解析において,リンパ節転移陽性の場合にはペルツズマブを加えることによる浸潤癌の無病生存期間(IDFS)の改善を認めており,トラスツズマブにペルツズマブを加えることはリンパ節転移陽性などの再発リスクが高い患者に対して推奨される治療である。

と書かれており、「リンパ節転移陽性などの再発リスクが高い患者に対して推奨される治療」と書かれています。APHINITY試験の結果では、全体ではペルツズマブ(パージェタ)を加えた方が治療成績が良かったのですが、リンパ節転移なしの症例では差がなかったのです。この結果を受けて、(1)全体で差があったのだから全例ハーセプチン+パージェタで良い、(2)リンパ節転移がなければハーセプチンのみで良い、という意見に分かれています。

パージェタが安くて副作用がなければ問題ないかもしれませんが、そこそこ高いですし、新機能に与える影響もあります。アンスラサイクリンを追加しないという選択肢もまた同様の考えで、リスクが高くなければTC療法(ドセタキセル+エンドキサン)で十分という考えがあります。

文責:島根大学医学部附属病院乳腺センター 角舎学行