遺伝子検査の必要性があるでしょうか?

2021年8月18日   

トリプルネガティブstage3b(リンパ節に微小転移1つ)左乳房全摘&左リンパ節郭清を昨年の6月にしました。術前化学療法(AC+パクリ)&術後化学療法(ゼローダ)&放射線治療もしています。今現在、再発転移は見つかってはいません。(治療開始から約2年)
つい先日の定期検診で、遺伝子検査を提案されました。
理由は、
・検査対象を満たしており、尚且つ保険適用になったこと
・転移が見つかった場合の治療に役立つこと
・まだ若い(36歳)から、卵巣&右乳房を予防切除することで、リスク低減することができる

などを上げられました。ですが、もし遺伝子異常があった場合、子供はまだ小さいし(7歳男子、2歳女子)、また、あの辛い手術を2ヶ所もするのかと思うと、精神的に辛い部分もあります。
叔父(70歳前後でヘビースモーカー)が同時期に舌ガンになりましたが、その他親戚に、ガン罹患者はいません。
担当医は、絶対に受けて欲しいという訳ではなく、あくまで参考であり、カウンセリングも受けることが出来るから、1度考えてみてと言われました。
仕事もしていますし、ウィッグも取れ、やっと普通の生活に戻れた感じの状態です。

やはり、年齢的・タイプ的に遺伝子検査を受けて、異常があった場合は、予防切除手術をしておいた方が、メリットが多いのでしょうか?
今現在、乳ガンの遺伝子異常の確率はどの程度なのでしょうか?
カウンセリングでは、予防切除の詳細・子供たちへの今後の検査等、詳しく聞けるのでしょうか?

もうガンにはなりたくはないですが、女性の象徴的な部分がなくなる喪失感がまた…と感じる部分もあります。

昨年4月から一定の基準を満たす乳がん患者さんを対象に遺伝子検査(BRCA遺伝子)が保険適用になりました。主治医の先生はそれで説明されたのだと思います。あなたにどうしても受けた欲しいというわけではないと思います。

私の施設の流れでは、主治医が遺伝子検査を説明を簡単に行い、検査に興味がある(最終的に受けなくても良い)方は遺伝子診療部でカウンセリングを受けてもらいます。そこでメリットとデメリットをしっかり説明してもらい、検査を受けるかどうか決めてもらいます。

予防的切除をするかどうかはその先ですので、まだ考えなくてもいいと思いますよ。私の施設では、昨年4月からで基準を満たす方で希望者を検査した結果、遺伝子変異があった割合は8%でした。これは、基準が緩く設定してあるからだと思います。

文責:広島大学病院乳腺外科 角舎学行