非浸潤性乳がんに対して術後のホルモン剤は必要でしょうか?

2023年11月2日  , 

54歳で初発のがんの乳管内進展が大きく、全摘しました。病理検査では、リンパ節転移なし、非浸潤(「明確な浸潤は見当たらない」、センチネルリンパ節0/1、レベル1リンパ節0/9、断片陰性)でした。
術後治療としてホルモン剤を服用するかどうかで迷っています。
術前の生検では、ER+(100%)、PgR-(0%)、HER2+(3+)、Ki67 70%、グレード2でした。
Ki67が高く、HER2陽性で、PgRが低いとホルモン治療の効果が薄いとしたら、問題になるのはホルモン受容体なんだろうかと考えてしまって、長期的なホルモン剤服用が予防になるのかどうか、判断できずにおります。どう考えて決めればいいのでしょうか。

どうぞよろしくお願いいたします。

遠隔転移に関しては、浸潤がんがなければ内服する必要はありません。ですので、ガイドラインにも「乳房全切除」についての記載はありません。あくまで「部分切除後の局所再発を抑制する」ということが書かれているだけです。

「DCISに対する乳房部分切除術後の内分泌療法により,DFSの改善,乳房内再発抑制が期待されるが,OSの改善はなく,有害事象は増加し,タモキシフェンとアロマターゼ阻害薬でその割合は異なっている。QOLは評価されていない。患者の希望のばらつきも大きいと考えられる。複数のランダム化比較試験の統合解析の結果であり,エビデンスの強さは「強」とした。」

その上で質問者について考えてみると、乳房全切除をされていますので、不要ということになります。

問題は、病理で隅から隅まで見られているのか?どこかに浸潤がんがないのか?ということですが、それは病理を信頼して、ということになりますね

 

CQ1 ホルモン受容体陽性非浸潤性乳管癌に対して乳房部分切除術後の内分泌療法は推奨されるか?

文責:島根大学医学部附属病院 乳腺センター 角舎 学行