骨転移乳がんへのSBRT(定位放射線治療)は効果があるでしょうか?

2023年6月20日   

妻(46歳)は2018年11月に乳がんを罹患し、左胸を全摘しました。
Stage IIa, Luminal A, HR+, PG+, Her2-
術後はタモキシフェンの服用を行っていました。術前術後の放射線治療/抗がん剤治療歴無しです。
ちょうど4年経過した2022年12月に胸骨への転移が見つかりました。
CTとFDG-PETの検査で、転移腫瘍は胸骨に1箇所、直径約1.5cmでした。
2023年1月からイブランス(125mg)とフェソロデックスの服用を開始し、現在マーカーは下降曲線に入りました。
遠隔転移が生じた場合、病期はIV期となり、根治を目指した治療は行わないのが標準治療である事は理解しています。しかしまだまだ子供も小さく、少しでも予後を改善する治療法があれば試したいと思っています。ガイドラインに「オリゴ転移乳がんにはSBRTの適用を検討しても良い」との記述を見つけました。様々な大学や病院の放射線科のHPにオリゴ転移がんの事が記載され始めましたが、現在の主治医も含めて、乳腺外科医の先生方はあまり積極的ではない印象です。
SBRTを受けた方が良いのか、やめた方が良いのか、ぜひご意見を聞かせ頂ければ幸いです。また、SBRTを受けた後の全身治療はどの様なものをどれくらいの期間想定すれば良いのでしょうか?

ご質問ありがとうございます。

おっしゃる通り、オリゴ転移に対するSBRT(定位放射線治療)は現在、非常に注目されている領域で、乳がんだけでなく様々な癌腫で臨床試験が進行中です。また、2020年にオリゴ転移に対するSBRTが保険適用となったこともあり、日常臨床でも行わる機会が増えています。ただし、オリゴ転移には多様な病態が含まれており、どのような患者さんに局所治療(SBRT)が有効であるのか、また、どのようなタイミングでSBRTを行うのがよいのかなどは現時点では明らかとなっていません。つまり、有効性を示唆する報告はあるものの、その有効性が十分に確立している訳ではないというのが現状です。そのため、日常臨床では、患者さんごとにこれまでの治療経過や病状を踏まえて、その適応を判断することが必要となります。

ご質問に記載いただいた内容のみからの判断にはなりますが、今回の場合は、単発骨転移であること、ルミナルタイプであること、手術から再発までの期間が4年であること、薬物療法で腫瘍マーカーが低下していることなどから、SBRTは選択肢となり得ると思われます。現在の標準治療は全身療法であり、最終的にはその得失を踏まえて、SBRTを受けるかどうかはご自身で決断していただく必要はありますが、一度、放射線治療科を受診し、放射線治療医からSBRTの説明を聞いてみてはいかがでしょうか。

なお、オリゴ転移にSBRTを行った場合に全身療法を省略可能かは現時点では明らかとなっておりません。全身療法には潜在的な転移巣を制御するという役割もあります。したがって、SBRTを行った場合でも、原則的には、SBRTを行わない場合と同様に全身療法を継続していくことが必要となります。

 

文責:広島大学病院放射線治療科 西淵いくの