HER2陽性乳がんの局所再発後の治療について教えて下さい

2020年7月26日  , 

2016年 温存手術し、その後、FEC、パクリタキセル+ハーセプチン、放射治療、ホルモン治療2年間しました。その時は浸潤乳管癌 浸潤部は11ミリ、リンパに転移無し、グレード2、ki67 20%、ER50%、PGR10%、HER2 3+でした。

2020年 同じ右胸の前回の腫瘍の位置のすぐ側に局所再発しました。サブタイプが変化しました。グレード2、ki67 30%、ホルモン陰性、HER2 3+

先生よりドセタキセルとハーセプチンとパージェタを勧められています。
抗がん剤の副作用がつらく分子標的薬のみにしても効果はありますか?

ご質問ありがとうございます。

質問者様の状況は、再発ですが局所再発なので、根治を目指した予防目的の治療になります。乳房以外の転移がある場合は、根治が難しく全身治療を継続しないといけませんが、質問者様の場合は、前回と同様に治療は一定期間で終了します。抗HER2薬のみ(ハーセプチン、パージェタ)を行ってもある程度の効果は出ますが、ドセタキセルを併用することで、より根治が望める可能性が高くなります。術後の試験ではないのですが、術前に、ハーセプチン、ドセタキセル併用群とハーセプチン、パージェタ、ドセタキセル併用群、ハーセプチン、パージェタ併用群、パージェタ、ドセタキセル併用群の4群を比較した試験(NeoSphere試験)があります。4コース終了後に手術を行い、その際に浸潤癌が消えていた確率(pCR率)をみると、ハーセプチン、パージェタ、ドセタキセル併用群で46%、ハーセプチン、パージェタ併用群で17%と大きな差がみられました。また、手術時に腫瘍が消えていた場合は、残っていた場合と比べ5年間の再発リスクは約半分でした。HER2陽性乳癌は、治療効果が期待できるタイプなので、できれば抗がん剤を併用した方が良いとは思います。問題は、ドセタキセルの副作用ですが、質問者様の現在の体の状況や前回治療時の副作用の程度によっても、予測される副作用の程度は異なります。主治医の先生と相談され、納得して治療を受けられるようお勧めします。

 

文責:県立広島病院臨床腫瘍科 土井美帆子