術前化学療法により完全奏功しなかった場合の予後、治療について教えてください
2021年1月23日 術後治療方針
ホルモン陽性 HER2陰性 ルミナールBタイプの乳がんで、術前化学療法(EC 療法とパクリタキセル)をした後、先日全摘手術を行いました。H BOCの検査は異常なしでした。術後の病理検査で、腋窩リンパ節転移は全て抗がん剤で消えていた のですが、1.3mm程度の腫瘍がいくつも残っていました。抗が ん剤腫瘍効果はGrade2とのことです。完全奏功した場合の方が予後がいいということなのでpCR目指し て抗がん剤を頑張ったのですが、結果に落ち込んでしまいます。今 後、予定していた放射線、ホルモン治療に上乗せでゼローダを服用 することになりました。ゼローダを上乗せすることにより完全奏功 した場合のような予後にもっていけるのでしょうか。
お忙しい中恐縮ですが、ご回答いただけると嬉しいです。
お忙しい中恐縮ですが、ご回答いただけると嬉しいです。
細にお教えくださり、ありがとうございます。
ルミナルBタイプの患者さまの術前化学療法につきましては、pCRを、 トリプルネガティブやHER2陽性のサブタイプの患者さまと同様 な高い確率を見込むということよりも、乳房の温存率を高める、その後の再発を抑制する、 生存率を高めるという観点がより重視されると考えられます。
そして、術後のゼローダの追加治療は、しない方と比較して、 HER2陰性乳癌の患者さまの再発率や生存率を改善させます。ルミナルタイプでのpCRした方との直接的な比較は長期的なデー タは乏しいのですが、現状では、 主治医からゼローダの内服のご提案は最善だと考えます。
ご参考になれば幸いです。
文責:広島共立病院乳腺外科 郷田紀子