再発治療中ですが、比較的早期から緩和ケアを受けることはできますか?

2020年1月27日   

半年前に診断を受けました。
私は看護師なんですが、昨年6月中旬、仕事で患者さんを抱えた途端、いつも通りのやり方で患者さんも決して太った方ではなかったのに、腰と背中に激痛が走り動けなくなりました。勤務先の病院でレントゲン撮影し、腰椎と胸椎に多岐に渡る骨折があり、またその骨折は悪性の可能性があると言われました。入院して様々な検査をし、オカルト癌と診断され、最終的に乳がんが原発と分かりました。 現在、骨、肝臓、肺、脳に転移があり、一時は寝たきりになりましたが今は疼痛コントロールも出来、転移巣は全体的に小さくなっていて入退院を繰り返しながらも自分のことは自分で出来ています。ただ、私も看護師なので先のことはだいたい想定がついていますので、今、自分のことは自分で出来、判断能力もあるうちに、緩和ケアを受け、在宅で最期を過ごす方向性を考えていきたいと思っています。
一般的には院内の退院支援センターなどが福祉サービスを提案したり、ケアマネを紹介して下さるのでしょうが、私の場合、末期癌とはいえまだ40歳になっていないので介護保険は適応出来ないこと、すぐにすぐは困っていることはないので具体的な相談事はないこと、から、MSWさんも動いてくれません。
テレビの影響ではないですが、今は早期から緩和ケアを導入し、本人や家族の意向を聞きながら準備を進めていると聞きます。
さすがにテレビみたいに大学病院の先生が患者の家に行くことはないですよね)。
訪問看護や在宅医にお世話になるとしても、大半の事業所は、介護保険による高齢者サービスを主としていて末期癌の患者のように不安定な仕事は断られやすい、とも聞きます。
大学病院ならたくさんの乳がんの方がいらっしゃると思いますが、皆さん、いつくらいから、どのようなタイミングで、どんなサービスを受けていますか?
先生方はどんなアドバイスをして下さるのでしょうか?
ある病院のがん支援センターにも聞いたのですが、忙し過ぎるし、他の業務も兼務のため、あまり具体的な話しは出来ませんでした。
今からどんなふうに体は変化し、それに対してどんなアドバイスを頂き、どんなサービスを受けながら在宅で生活出来るのか、大学病院としてのお話しで構いません。
アドバイスいただければと思います。
よろしくお願い致します。

突然の発症で、大変な驚きであったと推察いたします。 
同じ医療業界の方ですので、率直に申し上げます。
積極的な治療の有無にかかわらず、その方が、その方らしく 過ごせるように、あらゆる側面からのケアを行うのが、現在の緩和ケアの考え方です。ですから、今主治医の先生の所に通院されながら、がんに対する治療と、がんに伴うお体の諸症状(心理的な支援も含む)に対するケアを行っているとすれば、緩和ケアも同時に行われている状態といえます。
今後、現在の主治医の先生のもとで治療を継続することが難しくなった際に、在宅で往診の先生に見ていただきながら、ご自宅で療養されるのか、緩和ケア病棟のある病院に入院されるのかを、ご本人とご家族で少しずつ話し合っていただく事が、大事になってくると思います。
そういった状況となれば、主治医の先生やMSWを通じて、在宅緩和ケアを行っている医師を探してもらい情報交換をしていただいたり、緩和ケア病棟のある病院を紹介して頂き、その病院へ入院前相談に行ったりすることになるでしょう。
おっしゃる通り、 介護保険の適応は困難ですが、通院が難しくなり、在宅で療養される場合の往診や訪問看護については、医療保険の適応となります。 
*この点に関しては、秋本先生に昨夜電話で確認いたしました。
 
当院(廿日市記念病院)でも、在宅療養を続けながら、
① ご自宅での生活が難しくなったら(お風呂やトイレに行くのが難しくなる、食事摂取量がかなり減ってしまうなど)当院へ入院。
② 症状変化が急激かつ強い場合には、一旦主治医のいる急性期病院に入院後、当院へ転院。
など、様々です。
繰り返しになりますが、今後身の回りのことを、ご自身だけで行う事が困難となったときに、どこで過ごしながら療養を続けるかを、ご家族とじっくり話し合っていただければと思います。
文責:廿日市記念病院緩和ケア科 吉屋智晴