放射線治療後の乳房にしこりを触ります。再発ではないでしょうか?
2020年3月3日 術後フォロー
2018年6月に温存手術をしました。その際、娘結節があるとの
数日前、入浴しながら胸をくるくると触ってみたところ、乳頭すぐ
リンパ節転移なし、HER2陰性、脈管侵襲1プラス、グレード1KI67は15%
です。
相談者様は手術からおよそ1年8か月、放射線治療からはおよそ1年半経過されているものと考えられます。温存術後に同じ乳房におこる再発は「温存乳房内再発」と言って、たしかにあり得ます。ただし、相談者様のように正しく治療を行われていれば、それほど頻度が高いものではありません。温存手術では、しこりがあった部分を切除すると同時に、残る正常な乳腺をよりきれいな状態にするためにしこりがあった範囲よりも少し広く手術操作を行っていることがあります。しこりがあった部分とは遠い乳頭あたりにまで固いような感じを受けられたのはそのせいかもしれません。主治医は乳腺エコー検査によって、相談者様の気になる部位が術後の変化の一つか、温存乳房内再発を疑うものなのかを判定されると思います。また放射線治療によって皮膚は硬くなる部分があり、乾燥しやすいため「痒み」や「かさつき」の症状が出やすいです。軟膏や保湿剤を使用することをお勧めすることがあります。
また、腫瘍マーカーについてですが、乳がん術後の患者様に広く用いられている有能なマーカーです。しかし、小さな再発を鋭敏に検出するものではなく数値に個人差も大きいため、他の検査結果と総合的に判断するものです。
術後の検診方法ですが、日本乳癌学会のガイドラインにおいて1年の1度の視触診とマンモグラフィが基本です。しかし、相談者様のような気になる症状がある場合は上記に追加して乳腺エコーや血液検査、その他の検査も追加していきます。これまでの検査項目の総合的な判断で検診の内容や間隔が決めておられると思います。上記をご参考いただき、ご不安な点を主治医にご相談してみていただけましたら幸いです。詳細にお教えくださり、大変ありがとうございます。
文責:広島共立病院外科 郷田 紀子