先月マンモグラフィとエコーでひっかかり腫瘍がいくつかあった中の左胸の1つを細胞診し乳がん(クラス5)と診断され、その後乳腺MRIとPET-CTを撮ったところ両方から両側乳がん疑いと画像診断されました。左胸に2個(10×7ミリ、4×8ミリ)と右胸1個(3ミリ)に乳がん疑いとあり、今のところ乳がんと確定しているのは最初に細胞診で調べた左胸の1つ(10×7ミリ)のみです(クラス5)。左胸のもう1つはクラス5の乳がんと8ミリしか離れていないということで一緒に部分切除をするということ、右胸の細胞診は正常、良性と出たのですが手術の時に一緒に切除することになりました。今まで針生検を一度もしたことがなく、左胸の1つは細胞診も針生検も全くしないままマンモ、エコー、MRI、PET-CTなどの画像診断のみで術式を決め手術をすることになっています。温存か全摘どちらでも可能と言われたので温存としたのですが、3個の腫瘍がすべて乳がんだったらと不安でこのまま手術をしてもよいのか迷っています。がんのタイプも分かっていません。
針生検をせずに術式を決めたり、手術を実際にするのはよくあることなのでしょうか?あと、一般的に多発性や両側の乳がんだった場合また再発したりする可能性は高いのでしょうか?乳腺MRIで乳がん疑いと出た場合それが良性であるということはあるのでしょうか?
(最初は健診のみ行う施設、その後乳腺クリニックを紹介され、そこから手術等のため大きな病院を紹介されました。)
細胞診で乳癌との診断がついた場合、正診率は90~95%とされ100%確実ではありません。例えば乳房切除など大きく影響のある術式を選択する場合には針生検で診断をつけるのが一般的です。温存手術でも乳癌と良性腫瘍では手術の切除範囲がずいぶん異なるため、針生検の診断があれば自信をもって切除範囲を設定できます。生検を行うかどうかは画像診断や生検の負担を考慮して総合的に判断します。施設により判断は異なるようです。近くにある腫瘍を一緒に切除する場合には生検を省略することがあります。また、稀に生検が非常に困難な小さな腫瘍や、生検でも診断が困難なタイプの腫瘍が予想される場合には手術を行って診断と治療を兼ねることもあります。乳腺MRIは乳癌を検出する能力は高いのですが、良性病変を乳癌疑いと判断するいわゆる偽陽性の可能性がありますので、MRIのみで良悪性の確定診断は困難です。
文責:県立広島病院乳腺外科 野間翠