左乳房にしこりと乳頭からの分泌物があり受診し、マンモ、超音波エコー、MRI検査を行いました。乳管内乳頭腫または早期乳がんとの診断で良性か悪性かの判断は難しいらしく、診断と治療を兼ねて腺葉区域切除手術を5月上旬に予定していました。しかし、今回の新型コロナ流行で近隣の病院でも院内感染が見つかり、入院中や術後の感染リスクなど不安を感じています。良性ならばこの騒動の中急いで手術をしなくても良いのではとの思いもあり、手術の延期を考えています。そこで、このような理由で手術の延期を希望しても良いのでしょうか?
また、悪性の可能性もあり、乳房の異変を感じてから10ヶ月も経っていることから延期することによる癌の進行も心配です。
主治医の先生は、まずは針生検で診断でも良いとおっしゃっていたのですが、正常組織が壊れるので手術に影響がでるとお聞きし、針生検せずに手術を希望しました。
今からでも針生検をお願いして良性か悪性かの診断が出てから、改めて手術日を決めることは可能なのでしょうか?
コロナ騒動の影響から、このまま手術をして良いのか不安や迷いが生じてしまいました。
コロナウイルスの影響は地域や病院の性格によって異なりますが、緊急でない(癌と診断されていない症例の)手術は延期するとの方針を打ち出す病院も多くなってきました。(2020/4/27 広島の現状)また、患者さん自身が感染リスクを避けるために手術や検査の延期を希望されることもよくあります。一般に乳管内乳頭腫と早期乳癌との鑑別は難しいため、診断と治療を兼ねた腺葉区域切除術が必要となることがあります。この際、針生検が組織診断に及ぼす影響の考え方は医師によりかなり違うので一概には言えないのですが、例えば針生検で乳癌との診断がついた際には乳癌としての手術を行います。針生検で乳管内乳頭腫の診断の場合でも悪性の可能性は残るのですが、より悪性寄りか良性寄りかの情報が得られます。このように針生検で得られる情報は貴重で、手術のタイミングを考える手助けにはなろうかと思います。医療体制も平常時ではないため、これまでの診療パターンにあまり固執せず、現時点でのベターな選択を常に検討する必要があります。ご負担も大きいことかとお察しします。質問者様の診断・治療がスムーズにいきますようにお祈りします。
文責:県立広島病院乳腺外科 野間翠