病理検査でリンパ節にマクロ転移が見つかりました。抗がん剤での治療が必要でしょうか。

2020年7月2日   

2020年5月に乳房全摘出手術を行いました。
ER +90%、PgR +>90%
HER2 score1、Ki-67 10-20%
センチネルリンパ節の術中診断では陰性だったのですが、病理検査でマクロ転移(3mm)が1つ見つかりました。主治医からは抗がん剤の治療(ドセタキセル+エンドキサン)4クールの後、ホルモン治療を推奨するとの説明がありました。

抗がん剤での治療が必要でしょうか。また、ホルモン剤だけでの治療と、5年後再発率にどれくらいの差がありますか。

乳癌術後の抗がん剤治療は
再発リスクを予測する因子である
 腫瘍の大きさ
 リンパ節転移の状態
 がん細胞の悪性度
 がんの増殖能(Ki67)
 がん細胞のER,PgR,HER2の状態
 がんの周囲の脈管にがん細胞が入り込んでいる程度や
 多遺伝子アッセイ
 患者さんの治療に対するご希望やご意向など
 を考慮して決定しております。
なぜなら再発リスクの程度によって抗がん剤のメリットが異なるからです。
再発リスクが高い場合、抗がん剤の使用によって再発リスクが約30%低下しますが再発リスクが低い場合、抗がん剤の使用による再発リスク低下は約3%程度です。
また5年生存率につきましてはUS oncology 9735試験において
StageⅠ~Ⅲの場合 TC療法を行った場合の7年生存率が87%と報告されています。
一般的にリンパ節転移の所見のみで抗がん剤治療の決定は行いませんので、ほかにも抗がん剤治療を行った方がよいと考える理由があるのだと思います。
抗がん剤治療によるメリットが高い場合には是非頑張っていただきたいと思います。もう一度主治医の先生に抗がん剤治療の必要な理由を御相談なさってはいかがでしょうか。抗がん剤治療は副作用を伴いますので、しっかり御相談なさって治療法に納得されて進まれるのがよいと思いますよ。応援しております。
呉医療センター乳腺外科  板垣友子