トリプルネガティブで今年2月に肺転移、リンパ節転移発覚。ハラヴェンは効果が弱くなって来ました。次の治療法について教えてください。

2022年7月7日  , 

2020年乳癌告知 トリプルネガティブでパクリタキセル12回 全摘手術、AC療法4回 放射線治療25回。ゼローダ6ヶ月。今年2月に肺転移、リンパ節転移発覚。ハラヴェンで一度は縮小したものの6月のCTで再増悪しハラヴェンは効果が弱くなってきたと言われ次の治療法を提示されました。
しかし、すごく迷っています。提示されたのは、ジェムザール、ナベルビン、PDL-1が陽性だったためアブラキサン+アテゾリズマブの3つを提示されました。ただ、パクリタキセルがあまり効果がなかったのでアテゾリズマブ+アブラキサンは効果がないかもということでした。
主治医に聞くと3つとも同じぐらいの薬剤の強さだと聞き余計に迷ってしまいました。
効果がありそうなのはどれでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
トリプルネガティブ乳癌に対する抗がん剤治療として、術前にパクリタキセルを12回、術後にAC療法を4回、2022年2月に肺、リンパ節の転移がみつかった後、ハラヴェンを4か月受けられた状況と思います。今後の治療選択肢として、①化学療法のみ(ゲムシタビン >ナベルビン > 塩酸イリノテカン)、②化学療法(アブラキサン)に免疫療法(アテゾリズマブ)を併用、③化学療法(パクリタキセル)に血管新生阻害薬(アバスチン)を併用、④BRCA遺伝子変異陽性であればPARP阻害薬(リムパーザ)、といった選択肢が考えられるます。治すことはなかなか難しい状況なので、できるだけ普段どおりの生活を長く続けることが治療の目標になります。どの治療を選択するか悩ましいですが、PD-L1が陽性であればアテゾリズマブの選択肢が増えるので、早いタイミングで受けられることをお勧めします。一方で、主治医の先生がおっしゃるように、術前のパクリタキセルの効果が芳しくなく、AC療法を行う前に手術を行った、という状況であれば、アブラキサンの効果は期待しにくいかもしれません。また、術前のパクリタキセルによる手足のしびれが残っている場合は、副作用について考慮する必要があります。②、③の選択肢はしびれがさらに強くなって、その後治療を変更してもしびれが続く可能性があります。④に関しては、もう検査を受けておられるかもしれませんが、血液検査でBRCA遺伝子検査を行う必要があります。陽性の場合は遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)の診断になりますので、検査について主治医の先生からよくお話を聞かれた後、ご検討ください。

少しでも参考になれば幸いです。

県立広島病院臨床腫瘍科 土井美帆子