ハーセプチン投与中に悪心、嘔吐がありました。副作用として中止した方がいいのでしょうか?
2020年1月4日 分子標的治療
9月に左乳房全摘手術をし、10月から術後化学療法としてEC療
病理検査の結果
浸潤径1.1cm、リンパ節転移なし、
グレード3、ER陰性、PgR陰性、
HER2 3+、脈管侵襲なし
Ki67 25%
よろしくお願いいたします。
質問者様がおっしゃるように、HER2陽性乳がん術後のハーセプチンは、再発リスクを下げるために重要な役割を果たしています。一方で、今回起こった症状が、ハーセプチンの初回投与に多い注入反応(インフュージョンリアクション)か、ごくまれにみられるアナフィラキシーかの鑑別が重要です。注入反応の場合は、今回行われたカロナールの予防内服や点滴速度を落として再投与することが可能ですが、アナフィラキシーの場合は、再投与により命に係わる状態になるため勧められません。アナフィラキシーの症状としては、喉頭浮腫による気道閉塞(喉の奥の空気の通り道が塞がれること)、嗄声(しゃがれ声)、発声困難(うまく声が出せない)、喉の異物感(喉に何か詰まっているような感じ)などの症状や、動悸やめまい、気の遠くなる感じなどの症状がみられます。皮膚(蕁麻疹や顔や目・口の周りの腫れ)や呼吸(咳、鼻閉感、息苦しさ、胸の圧迫感、喘鳴)の症状もアナフィラキシーを疑う症状です。過去の臨床試験から、ハーセプチン・パージェタ併用はリンパ節転移陽性や浸潤腫瘍径2 cm以上、ハーセプチンは浸潤径1cm以上が一般的とされています。不安をゼロにすることは難しいですが、主治医の先生とベストと思われる治療について話し合い納得して治療が受けれるよう願っています。
文責:県立広島病院臨床腫瘍科 土井美帆子