胃痛、頭痛がひどいのですが、ホルモン療法の副作用でしょうか?

2020年5月22日   

2016年3月に手術した乳がん患者です。
右側全摘、リンパ節転移で放射線治療済み。現在は右手にリンパ浮腫あり。三ヶ月前の検診時にノルバデックスの処方が無くなり、リュープリンの注射のみになりましたが、先日検診の際に処方箋出すのを忘れていたので引き続き飲みましょうと言われました。飲んだ翌日から胃痛と頭痛が酷く薬を飲んでも効きません。
これは単なる副作用でしょうか?
以前目眩や関節の痛み、不眠を相談しましたが乳がんとは、関係ないと一蹴され担当医に相談する気にもなりません。何が原因かわかれば安心するので前例が有れば教えてください

治療中の気になることを、質問しても解決できないのは不安になりますよね。質問に回答させていただきます。乳がんの好発年齢は相談者のように40-50代で、ちょうど更年期の年齢でもあります。また、ホルモン療法による副作用は、更年期症状とかさなる症状が多いので、人によっては、症状が強くなる場合もあります。リュープリンは、閉経にする注射薬ですので、副作用には更年期症状があります。ノルバデックスはホットフラッシュ、婦人科疾患をはじめとする、やはり更年期症状の副作用がある抗エストロゲン剤の内服薬です。

まず、ご質問の①胃痛、頭痛、ですが3ヶ月前まで3~4年間内服されていた薬を再開して、新しく強い副作用がでることは、あまりないと思います(絶対ではありませんが)。ただ、先発品・後発品(ジェネリックでも種類が色々あります)の種類によっては、副作用が新しくでることもあります。副作用が強く、続くようであれば、以前のものに戻すこともひとつの方法ですが、症状としては別の原因の可能性が高そうです。ご質問の②めまい、関節の痛み、不眠、などはまさしく更年期症状ですので、ホルモン療法による副作用の可能性もあります。しかし、この病気になってなくて、ホルモン療法をしてなくても、更年期のかたには生じうる症状です。ホルモン療法の副作用は、人によっては程度が違ったり、症状が異なったりすることもあります。まず、今の症状すべてが、ホルモン療法による副作用か、できればはっきりとさせる事が大切です。副作用による症状であり、それがどの程度生活する上で障害になっているのかと、再発予防のためにどのくらい必要な治療であるかを考え合わせた上で、ホルモン療法薬の変更や、場合によっては一時休薬も選択肢にあがってきます。ホルモン療法は5年から10年、長く付き合う必要のある治療です。副作用とも長く付き合う上で、症状への対処法や薬の選択なども合わせて主治医の先生と相談してください。

追記:ホルモン療法の副作用、もしくは更年期症状は、不安があったり、運動不足だったり、相談できなかったりすると、症状が強くなるというデータもあります。現在は、世界情勢が不安定で、stay homeのために運動不足になったり、不安が強くなっておられると思います。以前だと、患者サロンや患者会などをご利用することもお勧めしていましたが、利用が難しい状態ですので、気軽に相談室をご利用いただければ幸いです。

 

文責:香川乳腺クリニック 香川直樹