妊娠希望で受精卵凍結をしました。ホルモン療法中断して妊活したいです。
2023年6月6日 妊娠
41歳、ステージ2a、ホルモン受容体陽性、Her2
術前化学療法⇒手術⇒放射線⇒ホルモン治療中です。
乳がんの診断を受けたのが39才10ヶ月で40歳になる前に受精
仮に中断する場合、ホルモン療法を最低でもどのくらい服用するの
40歳超えて今更妊活は厳しいとは思っていますが、どうしても諦
POSITIVE試験は、「ホルモン受容体陽性の早期乳癌で、妊娠を希望して内分泌療法を一時的に中止した女性の再発リスクは上がるのだろうか?」
という疑問に関する臨床試験の結果です
ホルモン療法中に妊娠すると胎児に影響があるので「ホルモン療法中の妊娠は避ける」ということになっています。そのため、一旦、治療が始まると最低でも5年、場合によっては10年間、妊娠は避けるということになります。しかしそうなれば妊娠・出産する機会を失ってしまいます。妊孕性温存(妊娠・出産する力を温存すること)という選択肢も最近はありますが、受精卵を戻して妊娠するとしても、ホルモン療法が終わってからになりますから、この時期の5年、10年は切実です
だったら、ホルモン療法を中断して妊娠・出産した後にまた治療を再開してホルモン療法を終了したら良いのじゃないか?
それに対する答えがこの臨床試験の結果になります
その結果、治療を中断して妊娠・出産に取り組んだとしても乳がんの予後の悪化はなかったということです
「ホルモン受容体陽性の早期乳癌の既往がある一部の女性において、妊娠を試みるために内分泌療法を一時的に中断しても、遠隔再発を含む乳癌イベントの短期リスクは、ホルモン療法を継続した女性に比べて高くなかった」という結果になりました
試験に参加した患者のうち63%にあたる317名が出産したということは凄いことですね!
ただ、「長期的な安全性を知るためには、さらなるフォローアップが重要である」とも書かれていますので、最終的にはもう少し先まで経過を見る必要があるのでしょうけど試験名のようにポシティブな結果が出ましたので、悩んでいる患者さんには朗報になることと思います。
文責:島根大学医学部附属病院 乳腺センター 角舎 学行