浸潤がんの病理学的な分類は意味が無いと言われましたがどうなのでしょうか?

2019年12月9日   

ネットなどで、浸潤がんは、「浸潤性乳管がん」と「特殊型」に分けられ、浸潤性乳管がんは、さらにがん細胞の性質によって、「乳頭腺管がん」、「充実腺管がん」、「硬がん」とに分けられるとあり、予後も種類によって違いがあると書いてあるものもありますが、はじめにかかった医者が「そんな分類をしているのは日本だけだ」と言っていました。
やはり、浸潤がんは浸潤がんであり、そういった分類は無意味なのですか?
再発率や予後には大きく影響しないのでしょうか?

確かに、ネットをみると、こういった内容の書き込みがあり、患者さんからも何度か質問されたことがあります。

現在は、病期(ステージ)とサブタイプによって再発率や予後、治療法が決まりますが、実はこのサブタイプが使われるようになったのは10数年前からです。病理組織検査での免疫組織染色で、まずホルモンレセプター(エストロゲンレセプターとプロゲステロンレセプター)が調べられるようになり、そしてハーツー蛋白の過剰発現も調べられるようになってから、そこに増殖能がわかるKi67が加わってから、サブタイプが5つに分類されました。

サブタイプ別に治療法が決まり、そこに病期などから再発率や予後が想定されるようになりました。これは、2007年~2011年の国際会議(ザンクトガレン国際会議)から国際的に広まり、使われるようになりました。

その以前は、サブタイプがわからなかったので、病期だけでなく、何か再発率や予後に関係することはないかと、調べられていました。この中のひとつが、浸潤性乳管がんを、乳頭腺管がん・充実腺管がん・硬がんの3つに分ける分類です。順番に予後が良い→ふつう→わるい、とされたデータがありましたが、サブタイプ分類が始まってからは、サブタイプ分類と病期を組み合わせて考えることに優る分類はないことがわかり、ほぼ浸潤性乳管がんの分類は重視されなくなりました。そのうち分類されなくなるかもしれません。

病期とサブタイプだけ考えれば良いですよ。

文責:香川乳腺クリニック 香川直樹先生

 

以下のように回答いたします。
WHOによる乳癌の組織学的分類には浸潤性乳管癌は”Invasive carcinoma of no special type (NST)”として記載されており、日本乳癌学会による乳癌取り扱い規約における”腺管形成型・充実型・硬性型”については言及されておりません。
現在のところ、浸潤癌非特殊型の分類により再発や予後について検討した大きなエビデンスは報告されておりません。
組織型よりも、ホルモン受容体やHER2など生物学的特性により、追加治療を検討したり予後を考えることが一般的です。
文責:広島総合病院乳腺外科 大原正裕