はじめまして。コロナワクチンを接種するかどうか迷っているので質問させていただきました。私は2015年に初発乳がん(右全摘 ステージ0 非浸潤)術後は1年ごとに検診を受けていましたが、4年目に咳が続いて少し息苦しいと思っていたら、胸水が溜まっており、肺、リンパ、骨に転移していました。
ステージ0だったこともあり、最初は「肺がん」を疑い、肺の転移巣を胸腔鏡手術で切除し、病理の結果「乳がんの転移」と分かりました。
その後ドセタキセル4クールを終了し、画像では確認できないほどに癌は消えています。ハーセプチン、パージェタ、ゾレドロン酸は現在も続行中です。
今は体調も安定していて、普通に健康だったころと同じような生活をしています。
抗がん剤中は、胸水もあって息苦しかったり、胸水を抜いてもまたすぐたまったりで胸膜癒着術を3回やりました。
今は本当に普通の生活をしていて肺に違和感を感じることはないのですが、主治医が言うには「手術や胸膜癒着で肺をさわっているし、胸水も溜まっていたから、やっぱりコロナにかかった場合は重症化のリスクは高いと思う」とのことで、ワクチン接種は肯定的でした。
私は、身の周りで「腕が痛い」「熱が出た」程度ではなく、「半身まひになった」とか「幻覚がみえた」「起き上がれず食事もできなくなった」などの副作用と思われる症状の出た話もきいているのでとても不安です。
副作用のリスクと、コロナ重症化のリスク…私の場合はどちらが上なのか判断に迷っています。客観的なご意見をいただければありがたいです。よろしくお願いいたします。
ご質問ありがとうございます。第5波と思われる感染者急増の中、不安も強いと思われます。ワクチン接種に対しては抵抗があるのはあたり前で、私自身も怖かったです。
厚生省 新型コロナウイルス感染症 感染の手引き ver5.1を参考にお答えします。
まず、重症化リスクですが「乳がんの肺転移」は「リスクあり」になります。しかし、どの程度のリスクかについては調べた限りでは不明ですが、呼吸器症状がメインである新型コロナウイルス感染症においては呼吸器疾患(今回の場合は肺転移、胸水、胸膜癒着術の既往)が基礎疾患としてある場合は、ない場合に比べてリスクがさらに高くなるのは明らかだと思われます。
ワクチン接種の副反応について最近は挨拶のように会話でよく出てきますが、厚生省の記載では「接種後に注射した部分の痛み、疲労、頭痛などが接種した人の50%以上、筋肉や関節の痛み、寒気、下痢、発熱など が10%以上に見られ、こうした症状の大部分は数日以内に回復」とあります。詳細は厚生省HP「新型コロナワクチンの接種後の健康状況調査」をご参照ください。副反応はある程度出ます。しかし、命に関わる副反応はアナフィラキシーは100万回接種あたり7件、死亡は約4000万接種あたり102例と極めて稀です。
質問者の条件に完全にマッチした数値は出せませんが、感染した場合の50歳以下の重症化は0.3%、死亡率は0.06%となっています(2021年7月版 新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識 を参照)のでこれよりは高くなることが予想されます。
確率の問題だけで結論を出すとするとワクチン接種はしたほうが良いことになります。
また、「死亡」と「命に関わらない副反応」を天秤にかけるのは土俵が違うのではないかと愚考いたします。
あくまで数値上での意見となりますが参考になれば幸いです。後悔のない良い選択をされてください。
文責:秋本クリニック 秋本悦志