術後の治療について
2022年12月16日 術後治療方針
現在50歳、独身、閉経前です。
12年前、37歳の時に左胸に乳がんが見つかり温存手術を行いま
その際、放射線治療⇒ホルモン治療(3年)とノルバデックス(5
今回、2回目は左胸全摘出術を行い、先日病理所見が結果がでまし
病理結果ですが、お聞きするにあたり必要な項目がわからず、以下
割面径1.2大の白色腫瘤、硬性型浸潤性乳管癌。
scirrhous type, pT1c(14mm), g, Ly0, V0、Tubular formation 2
Nuclear atypia 2、Mitotic counts 1、Nottingham grade I
Nuclear grade 1、TIL:20%、リンパ節:陰性[0/1](sentine
UICC(8th):pT1c, pNO(sn), Mo
免疫染色(切片#4で施行)
ER:95%, ALLred score TS8=PS5+IS3
PgR:40% , ALLred score TS6=PS4+IS2
HER2:陰性(score 0)
MIB-1 index:35%
お聞きしたいことは、今回、担当医からホルモン治療が効くタイプ
前回は「MIB-1」の値が11%でしたが、Nottingha
また、ER:(+;6=4+2) PgR(-) Her2(-)であまりホルモン治療が効くタイプではないので、
12年後、再度同じ側に再発をしています。
今回、「MIB-1」の値は高いですが、それ以外はホルモン治療
抗がん剤治療を行った時にどれぐらいの効果があるのでしょうか?
ご質問ありがとうございます。
まず、今回2回目の乳がんですが、温存乳房内再発といわれるものです。温存乳房内再発には、元の乳がんの真の再発と、別の新しい乳がんとがあります。実際にはなかなか区別が難しい場合もありますが、組織型やサブタイプが異なっているかどうかをみたり、位置が異なるかどうか(遠く離れた全然違うところにできたか、元の乳がんのあったところの近くにできたか)をみたりして、両者を区別します。そして、いずれの場合でも全身転移の検索をして、全身転移がなく乳房内の腫瘤(局所病変)のみであれば、根治を目指して治療(手術、薬物療法、放射線療法を組み合わせて)を行います。このとき手術は、多くは乳房全切除術が選択されます。全身への転移病変があれば、根治は難しいため、薬物療法が主体となります。
左乳房全切除術が行われているので、局所病変のみで全身転移がなかったのだろうと推察されます。根治が目指せる状態です。初回治療時と同様に、再発防止目的に術後補助療法を行います。
再発防止目的の薬物療法の種類・強度は、進行度とサブタイプによって決まります。ステージ1のルミナールタイプ(ホルモン療法が効くタイプ)の乳がんで、MIB1の値だけをみると、ルミナールBタイプ(ホルモン療法に加え化学療法もする方が望ましいタイプ)のようにも見えますが、やはりステージ1であり、化学療法の上乗せ効果は少ないものと考えられます。ちなみに、Predictというサイトのツールでデータを打ち込んで10年生存率をみると、手術のみでも93%、ホルモン療法をすると94%になり、化学療法まですると95%になります。計算上は化学療法の効果はほとんどありません。ホルモン療法のみで十分だろうと思います。ただし、もっと詳しく再発リスクを調べたいのであれば、Oncotype Dxという乳がんの再発リスクを調べる遺伝子検査もあります。
『再発した時点で抗がん剤治療が決定的なのかなと思っていました』とありますが、再発とは言っても温存乳房内再発のみで根治を目指せる状態ですので、進行度により治療の強度を決めれば良いと思います。必ずしも抗がん剤は必要ありません。
主治医としっかりと相談して治療をなさってください。
JA尾道総合病院 乳腺外科 吉山知幸