浸潤径2ミリのHER2陽性乳がんですが、無治療でも大丈夫でしょうか?

2020年5月9日  , 

質問させていただきます。同時性両側乳癌で、3月に両側の全摘出手術を受けました(50歳)。術後の病理結果は
左:浸潤性乳管癌/硬性癌 リンパ節転移なし 脈管浸潤なし
核異型度1+ 浸潤径2mm ER陽性 PGR陰性 HER2:3+
右:微小浸潤癌 リンパ節転移なし 脈管浸潤なし 核異型度1+
浸潤径1mm以下 ER陽性 PGR陽性 HER2:1+
です。主治医の先生から無治療との診断をうけましたが、ハーセプチンの治療は今後治療候補のひとつと告げられました。次の診察は半年後です。
Q1
左乳癌は浸潤径2mmとはいえ浸潤癌で、HER2 3+ですが、無治療でも大丈夫でしょうか?
Q2
今後の治療候補としてハーセプチンがあるとのことですが、どのような状態になったら、ハーセプチン治療を開始するのでしょうか?ハーセプチン単独では効果はあまり得られないとの情報も多く見ますが、如何なものでしょうか?
医療機関が大変ご多忙な中申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いします。

ご質問ありがとうございます。施設により治療方針が異なりますので主治医の先生にもしっかりと同様の質問をしてください。

Q1
左乳癌は浸潤径2mmとはいえ浸潤癌で、HER2 3+ですが、無治療でも大丈夫でしょうか?

いくつかのT1a(5mm以下)N0のHER2陽性乳がんについての補助療法に関する報告があります。いずれも後ろ向きの解析ですが、日本からの報告では治療(化学療法・ハーセプチン療法)と無治療を比較しても予後に差がなかったと報告されています。

Breast Cancer Research and Treatment (2019) 178:647–656

Q2
今後の治療候補としてハーセプチンがあるとのことですが、どのような状態になったら、ハーセプチン治療を開始するのでしょうか?ハーセプチン単独では効果はあまり得られないとの情報も多く見ますが、如何なものでしょうか?

どのような意図で主治医の先生がおっしゃられたのか分かりかねます。再発したときのことでしょうか?独自でおこなわれている臨床試験の結果ということでしょうか?もう一度主治医の先生にお尋ねください。

 

文責:広島総合病院乳腺外科 大原正裕