術後化学療法は決められた回数全て受けなければ効果が下がるのでしょうか。

2021年8月18日  , 

こんにちは。2021年2月に32歳で若年性乳がんの診断を受けました。3月初旬に乳頭乳輪温存乳房切除術を受けました。術後の病理結果は浸潤性乳管癌、腫瘍径1.7×1.0センチ、リンパ節転移なし、ER 8%PgR 0%、HER2 3+ 陽性、Ki-67 52.26%、核グレード1、切除断端 陰性、脈管侵襲2、リンパ管侵襲2、との結果でした。その為、術後にEC4回/3週毎、ドセタキセル+ハーセプチン+パージェタ4回/3週毎、ハーセプチン+パージェタ全体で約1年/3週毎、ホルモン治療10年となりました。3月下旬よりEC療法4回/3週毎を行い、6月末にドセタキセル+ハーセプチン+パージェタの1回目の投与を行いました。その際に目の充血などの副作用が1ヶ月以上治らず、2回目の投与が 8月中旬まで延期となっております。 8月になっても目の充血や倦怠感が残っております。

①ドセタキセルを一度の投与で中断し、ハーセプチン+パージェタのみ1年間続けた場合、再発転移のリスクはどれ程上がるのでしょうか?ドセタキセルが辛いので中断したいのですが、やはり4回しっかり投与した方がいいのでしょうか?

②パクリタキセルの提案も受けておりますが、中断するよりパクリタキセルも試してみた方が良いのでしょうか?また、ドセタキセルを1度投与している場合、パクリタキセルはどのようなスケジュールでの投与になるのでしょうか?

③ホルモン感受性が微陽性ですが、この場合でもシュープリン等の注射薬とタモキシフェン等の内服薬を併用し10年しっかり治療した方がいいのでしょうか?

子育て中で抗がん剤の副作用を出来るだけ避けたいという思いと2人目の出産についても考えたいという思いがあります。長い文章になりましたが、よろしくお願い致します。

ご相談をお寄せくださいありがとうございます。
32歳でお一人のお子さんを育てながら、術後化学療法を受けられておられるなかでのご相談です。
ホルモン陽性HER2陽性のステージIとお見受けいたします。
術後化学療法では予定された薬剤が予定通りお体に投与されることが再発予防に重要となってまいります。
薬の量:治療強度あるいはドーズ、用量と言ったりしますが、これが下がると予後に影響することが分かっております。
ですので、主治医の先生は治療強度を下げずに化学療法をやりきることを目標にしていきたいと
いう思いです。ですので、我々もタキサン系のお薬を1回で終わらせないように同じタキサン系のパクリタキセルに変更
するという考慮は妥当だと考えます。パクリタキセルは毎週の投与になります。またホルモン感受性が少しでも陽性であれば
ホルモン療法の適応ですので、10年間のホルモン療法をぜひお勧めします。
妊娠を希望している中でのホルモン療法については、当サイトにもご相談が寄せられております妊娠 – 乳がんいつでもなんでも相談室 (pinkribbon-h.com)
現状の乳癌治療のエビデンスでは、長期のホルモン療法は妊娠の妨げになるために葛藤が生じる課題であります。
まずは、乳癌の術後の標準的な再発予防を行うことが優先です。主治医の先生、生殖医療専門家のご意見を取り入れながら
ご自身のライフスタイルを築いていかれることを願っております。
文責:広島市立安佐市民病院乳腺外科 郷田 紀子