昨年9月に非浸潤乳癌手術(左乳房温存術)を受け、今年1月に放射線治療が終了しました。ここ1ヶ月前くらいから、左胸上部(骨と骨の間の辺り)がシクシクと痛むことが多くなりました。
乳腺の医師からは、神経痛ではないかと言われましたが、気になったので、先月、循環器を受診しましたが、心臓や肺に大きな問題ないとの事でしたが、毎日の様に胸痛がして心配です。
術後、約1年経過しますが、術後の影響でしょうか?
それとも放射線治療によるものですか?神経痛だったら良いのですか…。神経痛でも毎日の様に痛むものですか?
もうしばらく様子をみても大丈夫ですか?もし痛みが強く受診する場合は何科にかかれば良いのですか?よろしくお願いいたします。
手術をしてしばらくしてから痛みが出ていると、再発や他の大きな病気ではないかとご心配されていることと思います。まずはすでに受診されている通り、気になる病気による痛みを除外することが重要です。今後も、痛みの質が変化したり何か気になることがあれば、定期受診時などに主治医にご相談ください。
そのうえで、術後や放射線治療による痛みについて説明いたします。
まず手術後の痛みですが、長時間経過しても残る場合があり、「遷延性術後痛」とよばれています。多くは術後から継続的に痛みが残るのですが、まれにいったん痛みが和らいだ後に再度痛みが強くなる患者さんがいらっしゃいます。痛みの性質は神経痛(焼けるような痛み、チクチクピリピリした電気が流れる痛み(特に肋骨に沿ってなど)、電気ショックのような急激な痛み、痺れ痛い、下着が軽くこすれるだけで痛い、などの特徴)の場合もあれば、ズキズキジンジン奥が重たい、ギューッと締め付けられる、などの特徴の場合もあります。質問者様のように、シクシク痛いと表現される痛みを持っている方もいらっしゃいます。持続時間や頻度は様々で、24時間ずっと痛みがある方もいらっしゃれば、たびたび発作的な痛みがある方もいらっしゃいます。
放射線照射後の痛みは、照射開始後2週間くらいで生じる患者さんが多いです。中には照射開始後早期から痛む方もおられます。ただ終了後6か月以上経って初めて照射後の痛みが生じるのは可能性としては低いかもしれません。痛みの性質は、乳房全体が張ってヒリヒリするという痛みが多いようです。また、放射線照射は手術後の痛みのぶり返しに関係あるかもしれないと言われています。
質問者様の文面からは遷延性術後痛の可能性があると思います。痛みが強くて何らかの治療を希望される場合には、ペインクリニックをおこなっている麻酔科にご相談なさってください。痛みの性質によって痛み止めの種類を調節したり、状況に応じブロック注射などを考慮します。少しでもよくなることを祈っております。
文責:広島大学病院麻酔科 田口志麻先生