11年後に骨転移、右胸の骨に腫瘍が再発し、現在この右胸骨上の腫瘍が5cm×5cm厚さ1.5cm位まで大きくなり、痛みがあります。手術の件、光免疫療法、オブジーボ等はどうなのでしょうか?

2021年8月27日   

ER陽性、PgR陽性、HER2陰性ルミナルA型です。H19年,右胸2.5cm+0.6cmステージⅡa温存で手術しました。抗がん剤治療を経てH29年までアリミデックスを服用し、10年経過したで服用を中止した所、H30年右胸骨上、鎖骨病的骨折、肝転移が見つかりました。ゼローダ、エンドキサン服用、フェソロデックス、ランマーク注射でR2.6月まで対応していましたが、右胸骨上腫瘍が2.5cm位まで肥大し痛みがあるため、ベージニオに変更しフェソロデックス、ランマーク注射をR3,4月まで続けました。現在、腫瘍が5cm大まで肥大し膨れて痛みがあります。薬選択肢がないと事で元ゼローダ、エンドキサン服用に戻り、フェソロデックス、ランマーク注射は続いています。局所転移ではない事は理解しておりますが、骨上腫瘍は手術出来ないでしょうか。光免疫療法、オブジーボ等、治療法をお聞かせください。アフィニトールは糖尿病があるため1ヵ月で中止、遺伝子検査は陰性でした。肝転移は治まっております。

ご質問ありがとうございます。

手術以外の局所治療の選択肢として、放射線治療があります。放射線治療歴の記載がありませんが、これまでに放射線治療は受けておられるでしょうか? これまでに一度も放射線治療を受けたことがないということであれば、放射線治療の適応と考えます。

ただ、質問文を拝見させていただくと、右乳房温存術後とのことですので術後に放射線治療を受けておられる可能性が高いのではないかと推察いたします。その場合、その際の照射範囲と現在の右胸骨の腫瘍が重なるために、主治医の先生が放射線治療はできないと判断されておられるのかもしれません。放射線治療は同じ部位には二度とできない(再照射はできない)と思われている場合がありますが、必ずしもそうではありません。現在の病状、過去の放射線治療の内容(照射部位や照射線量など)、放射線治療を受けてからの期間などを踏まえて再照射の適応を判断します。今回は手術後10年以上経過しており、腫瘍が増大傾向で痛みがあるとのことですので、緩和照射は十分に検討されうる選択肢ではないかと思います。一度、放射線治療医に放射線治療の可否について相談されてみてはいかがでしょうか。

 

文責:広島大学病院放射線治療科 西淵いくの