乳がんの腹膜播種が疑われています。治療はどうしたらいいでしょうか?

2020年6月23日   

私は「浸潤性小葉癌」です。 腹膜播種の可能性があると5月28日の子宮MRIで指摘されました。今週の木曜日にCTを撮る予定です。(前回は2月5日です。)
お尋ねしたいことは3点です。
★抗がん剤に変更すべきか。変更するならば何が良いか。
★「アフィニトール + アロマシン」は現状どのような扱いなのか。
★腹膜播種の場合の生存期間の中央値

2009年 7月右乳房全摘 浸潤性小葉癌です(39歳)。ルミナルA リンパ節転移13/23個
抗がん剤(PAC→FEC)、放射線、【ノルバテックス】
リンパ節転移していましたがオンコタイプDXスコア「10」

2018年 6月多発骨転移。胸椎9番目、右腸骨、左鎖骨 【フェマーラ ランマーク】
2019年 1月子宮転移。(5月に陰転化判明)
2019年 9月【イブランス + フェソロデックス】に変更
2020年 腹膜播種の疑い(現在50歳)

私の子宮転移はMRIに写りません。組織診で判明しました。
現在、イブランス、フェソロデックス、ランマーク。
主治医は抗がん剤に変更の時期かもしれないとのこと。
「パクリタキセル」又は「TS1」。
(主治医は「アフィニトール + アロマシン」は間質性肺炎の副作用の可能性が高いので勧めないとのこと。)
腫瘍マーカーの上昇がみられます。
1月~6月の推移です。
CEA 21.0→22.4→25.0→26.4→36.9→47.6
CA15-3 20.4→18.8→20.2→19.9→23.4→26.5
CA125  6月のみ 53.9
CTに腹膜播種や腹水が写るのだろうかと不安です。
(子宮転移はMRIに写らないので・・・)
2月にCTを撮った時は何の指摘もありませんでした。
腹膜播種だと様々な覚悟をする時と思った方が良いのでしょうか。
よろしくお願い致します。

ご質問有難うございます。
再発乳癌、ルミナルタイプ、多発性骨転移、子宮転移の診断に対してホルモン療法を約2年間施行し、腹膜播種が出現した状態とのことで、いただいた質問に回答いたします。
 
★抗がん剤に変更すべきか。変更するならば何が良いか。
抗がん剤に変更すべき段階と考えます。現状ではホルモン療法の効果は期待しづらく化学療法の効果が期待できる状態です。腹膜播種が進行すると、食欲低下、便秘、腹水、水腎症など生活に関わる症状が出現するため、より治療効果の高い化学療法を推奨します。
抗がん剤として「パクリタキセル」「TS1」のいずれも同等に推奨されますが、「パクリタキセル」は脱毛としびれ、「TS1」は色素沈着と胃腸障害が主な副作用となりますので、そこを考慮して判断します。
 
★「アフィニトール + アロマシン」は現状どのような扱いなのか。
「アフィニトール+アロマシン」は「ホルモン療法+CDK4/6阻害剤(イブランスやベージニオ)」の次に使用するホルモン療法として扱われます。化学療法開始までの期間を延長する目的で使用されます。
 
★腹膜播種の場合の生存期間の中央値
乳癌腹膜播種に限定した生存期間の中央値について確立した数字はありませんが、病状が進行すると生活への影響が強く出現する状態です。そのため効果を優先した乳癌治療が推奨されます。
 
今回の回答を参考に今後の加療についてご検討ください。よろしくお願いします。
文責:呉医療センター乳腺外科 重松英朗