HER2陽性乳がんの治療法ですが、タキサン+ハーセプチンから開始してもいいのでしょうか?

2020年9月28日   

妻がHER2陽性乳がんの治療中(現在治療を開始して約1月半)です。HER2陽性乳がんの術前の標準的な治療法は、例えば、①AC化学療法を最初に所定期間(3か月間)行い、その後、②タキサン系抗がん剤(パクリタキセル)+ハーセプチン+パージェタを所定期間(3か月間)投与した後、手術を行うことと理解しておりますが、現在の治療は、最初に上記②を行い、その後、①を行い、手術を行うという順序で進めております。
主治医に確認をしたところでは、患者の状況により後者の治療法を選択したとのことですが、後者の治療法も標準治療といえるのか、また、後者の治療法を採用しても治療効果に差異が生ずることはないのか、ご教示いただければ幸いです。
なお、妻は、リンパ節転移(脇と鎖骨上下)が認められるとのことですが、鎖骨上下の転移は治療開始後に判明したようです。

結論から言えば問題ありません。以前、アンスラサイクリンとタキサンはどちらから先にやった方がいいか、という論文があり、効果に差はないが治療のコンプライアンス(受け入れ=継続性)ではタキサンが最初の方が続けることができる、という結果でした。ですので、私もHER2陽性でも陰性でもタキサンから開始することがほとんどです。もちろんアンスラサイクイリンから開始しても構いません。

 

文責:広島大学病院乳腺外科 角舎学行