HER2陽性乳がんの術後薬物療法でEC療法は必要でしょうか?

2020年11月12日  , 

私の妻になります。49歳、女性。左胸乳がんにより左乳房の全摘手術を9月に行いました。ER0、PgR0、HER2は3+、浸潤径12×7mm、乳管内進展巣まで含めたサイズは60×12×55mm、lyマイナス、vマイナス、断端マイナス、核グレード3。リンパ節は3つ切除し、センチネルリンパには2mm程度の転移が存在、ノンセチネルリンパ2つには転移はありませんでした。10/21にハーセプチン、パージェタ、ドセタキセルの1回目の投与を受けました。
ここに来て、主治医からECを加えたらどうか?と話がありました。再発転移リスクが少しでも下がるならやれることはやっておきたいと思っています。
1.EC療法は必要と判断されますか
2.既に上記投与を受けてしまいましたが、途中変更しても大丈夫でしょうか。
3.ECを今から始めた場合の投薬スケジュールはどのようになりますか
4.ほかにもAC療法というのもあるようですが、EC療法より良いものがありますでしょうか。
よろしくお願いします。

1.術後の抗がん剤治療は体のどこかに潜んでいるがん細胞を根絶し再発を予防するために行います。浸潤径 12㎜ センチネルリンパ節 転移 1つ 2㎜以上 であればStageⅡAですので、術後の治療として EC療法とドセタキセル+ハーセプチン+パージェタを行うことは問題ないと思います。

2.ドセタキセル+ハーセプチン+パージェタを1回終了した時点での変更はありません。(ドセタキセルに対してアレルギーなどで変更することはあります。)

3.方法としましては、ドセタキセル+ハーセプチン+パージェタを4回行った後に→EC療法を4回行い→ハーセプチン+パージェタを14回行うことになります。

4.アンスラサイクリン系薬剤を含む治療にはAC療法、EC療法、FEC療法などがありますが差はないとされております。

奥様を隣でみておられて、必要のない治療はさせたくないお気持ちはわかります。ただ再発予防のための術後治療は今しかできません。優しいご主人の支えがあれば、乗り越えられると思います。頑張ってください、応援しております。

 

文責:呉医療センター乳腺外科 板垣友子