第153回まちなかリボンサロンは、広島大学病院 薬剤部 布施 直美 先生に『上手なお薬との付き合い方とは?』をテーマにご講演いただきました。
まず、抗がん剤の生い立ちについてご説明をいただきました。抗がん剤の登場から、徐々に研究が進み、個人個人に合わせた治療が可能になったという事です。
次に、新しい治療法である、がんゲノム医療についてご説明いただきました。がんゲノム医療とは、標準治療では改善が無かった患者さんを対象に行う治療法で、患者のがん細胞の遺伝子(ゲノム)情報を解析し、その結果に基づいて最適な治療法を選択する医療です。
従来のがん治療は、がんの種類や部位に基づいて標準的な治療を行うことが多かったのに対し、がんゲノム医療は患者一人ひとりの遺伝子変異を特定し、その個別のがんに最も効果的な治療を行う「個別化医療」を目指すものです。それに合わせて、新薬も開発され、進歩し続けているという事でした。
そのような状況下、薬剤師がどのようにがん治療に関わっているのか、調剤の方法等についてお教えいただきました。
続いて、ポリファーマシーについてお教えいただきました。ポリファーマシーとは、複数の薬剤を同時に使用することを指し、複数の薬を併用することで、薬同士が互いに影響し合い、効果が減弱したり、副作用が増加することがあります。
ポリファーマシーは適切な管理が重要で、定期的な薬の見直しや、処方内容の一元化、薬を正しく服用することで、ポリファーマシーに伴うリスクを最小限に抑えることができるとのことでした。
また薬品以外にも薬と食べ物でも相互作用が起こる事があり、その代表的な例として、グレープフルーツや牛乳による薬への影響をお教えいただきました。
最後に、今年10月から、後発医薬品(ジェネリック薬品)があるお薬で、先発医薬品の処方を希望する場合には「選定療養(せんていりょうよう)」として扱われ、負担増となったという説明があり、セミナーは締めくくられました。
視聴者からは、「主治医だけではなく、薬剤師はじめ様々な職種が治療に関わっていることを再認識した」といった感想が寄せられました。
次回11月の第154回まちなかリボンサロンは、広島大学病院 作業療法士 金山 亜希 先生に『術後の肩の運動とリンパ浮腫予防について』をテーマにご講演いただきます。
朝夕は涼しくなってきましたが、日中との寒暖の差が激しい日が続いています。くれぐれもご自愛ください。