11月の第154回まちなかリボンサロンは、広島大学病院 作業療法士 金山 亜希 先生に『術後の肩の運動とリンパ浮腫予防について』をテーマにご講演いただきました。
まず、最初に術後の肩関節運動についてお話がありました。廃液のためのドレーンが入っている間は、肩を挙げるのは90度までに制限しているが、日常生活でも極端に制限する事なく、むしろ積極的に動かしてほしいということでした。
ドレーンが抜けてからは肩関節の制限は解除し、可動域を広げるためにリハビリテーションをしていきます。目標は手術前と同じ可動域に戻すこととしています。
次にリンパ浮腫予防について説明がありました。リンパ浮腫とは手術や放射線治療によってリンパの流れが悪くなり起こるもので、0期から3期までに分類されています。
手術をして、塞がったリンパ節があっても別のリンパ節が発達している人は発症しにくく、そうでない人は発症するとの事です。数十年後に発症する事もあり、手術直後にむくまなかったからと安心することはできないということで、一度発症すると完治する事はないそうです。
リンパ浮腫の症状や、発症の見分け方などをお教えいただきました。リンパ浮腫の危険因子としては、放射線治療、感染、肥満、化学療法がほぼ確実と言われており、日々の生活で自己管理ができるのは、感染と肥満です。
スキンケアで乾燥を防ぎ、ストレスの発散や十分な睡眠など、常に体調を整えることが肝要であり、肥満防止のために適度な運動を行い、有酸素運動を推奨されていました。
また、長い時間同じ姿勢でいないように心がけることや、局所的な締め付けを避ける、重いものは持たないようにする、適切な運動をすることがリンパの流れを保つことにつながるのだとお教えいただきました。
視聴者からは、「腋下リンパ節を切った後の状態を、詳しく知ることが出来て良かった」などといった感想が寄せられました。
令和6年最後の第155回まちなかリボンサロンは、島根大学医学部付属病院 乳腺センターの角舎 学行 先生に『乳がん薬物療法の進歩と今後の展望』をテーマにご講演いただきます。