第151回まちなかリボンサロンは、島根大学医学部付属病院 乳腺センター角舎 学行 先生に『より綺麗に乳房を残すための手術~ラジオ波焼灼療法と内視鏡補助下手術~』をテーマにご講演いただきました。
本題に入る前に、1988年から現在まで、乳がんは一貫して増え続けていることや、年間発生数が最も多いが比較的治療は進んでいる事など、現在の乳がんに関する情報提供がありました。
その後、乳がん治療におけるタイプ別治療法や治療薬、手術の進歩や変遷などを説明いただき、現在では乳房温存療法と乳房全切除術を比較して、その後の生存率には差が無い事が明らかになったとお教えいただきました。
そのため現在は、乳房を必要最小限切除し、筋肉を切らない、できるだけ綺麗な乳房を残すという取り組みが進められているです。
そこで最近注目されているのが、ラジオ波焼灼療法です。もともとは肝臓がんに使われていた治療法で、腫瘍に針を刺して電流を流し、その摩擦熱で腫瘍を焼くという方法です。
適応基準は限られますが、治療に要する時間は長くとも10分程度で、乳房に傷が残らない、変形が少ないなど大きなメリットがあります。デメリットとしては、手術をしないので、もし焼けていない箇所があっても判るまで時間がかかることや、病理所見が得られないことが挙げられました。
治療には認定を受けた術者が必須となっており、現在は全国で67名が術者認定されています。中四国では鳥取、香川、高知以外に術者がいるという状況です。
次に、内視鏡補助下手術についてご説明をいただきました。
脇に小さな2cmほどの傷を入れ、そこから内視鏡カメラを入れて、できるだけ傷跡を小さくすることが可能で、従来手術と比較して乳房の変形も少なく、本来の患者さんには良い選択してあると言えます。
最後に、究極の手術とは切らない事であり、術前薬物療法で腫瘍が消失したら、手術をしなくても良いのではないかという取り組みを現在は進めていることを仰られ、セミナーを締めくくられました。
聴講者からは「(新しい治療法や薬の進歩を知って)未来に希望を感じることができた」「デメリットもしっかり教えてもらい良く解った」などの感想が寄せられました。
次回9月の第152回まちなかリボンサロンは、広島市立北部医療センター安佐市民病院 病理診断科 金子 真弓 先生に『乳がんのより深い理解のために ~病理が導く治療方針~』をテーマにご講演いただきます。