2026年2月7日(土)第169回まちなかリボンサロン(WEB形式)開催の報告

第169回まちなかリボンサロンでは、「こころとからだにやさしい漢方のおはなし」をテーマに、広島大学病院 薬剤部の櫻下弘志先生(がん専門薬剤師)から、漢方を安心して役立てるための考え方と注意点を学びました。漢方はドラッグストアやネットでも手に入り、暮らしの中で取り入れやすい反面、「自然のものだから安全」「体にやさしいから大丈夫」と思い込んで自己判断で続けてしまうと、合わなかったり副作用が出たりすることがある――まずその点が大事な前提として示されました。

 

西洋薬が“狙ったところにピンポイントで効かせる”のが得意なのに対し、漢方は複数の生薬を組み合わせて、体全体のバランスを整える考え方です。だからこそ、同じ症状名でも、体質やその時の状態によって合う処方が変わります。講演では、体力の傾向(虚・実)、冷えや熱の感じ方、むくみや血の巡りなどを手がかりに「証」を見立て、問診や診察を通して調整していくことが大切だと説明されました。顔色や表情、声の様子、生活習慣や食の好みなど、いろいろな情報を合わせて考えるのが漢方の特徴で、医師と相談しながら“自分に合う形”を探していくことがポイントです。

 

漢方の働きとしては、自律神経を整えて心身のバランスを保つこと、血流の改善により冷えや痛み・むくみ・疲れに関わること、ストレスによるゆらぎを和らげること、気力や食欲を支えることなどが紹介されました。また、がん治療の場面では、漢方は手術や抗がん薬などの代わりではなく、治療に伴うつらさを和らげたり体調を整えたりして、治療を続ける力を支える「補助的な役割」が基本であることも、わかりやすく整理されました。

 

具体例として、むくみや水分バランスの乱れに使われる五苓散、こむら返りなど急な筋肉のけいれんに用いられる芍薬甘草湯などが紹介されました。一方で、注意したい生薬として「甘草」と「麻黄」が挙げられました。甘草は多くの漢方に入っているため重なりやすく、むくみや血圧上昇などにつながることがあります。麻黄は動悸などが出る場合があり、ほかの薬との組み合わせにも気をつけたいところです。漢方同士でも西洋薬とでも、併用するときは一度確認するのが安心、というメッセージは参加者にとって実用的でした。

 

飲み方の工夫も紹介されました。粉が苦手な方は少量のお湯で溶かしたり、服薬ゼリー(オブラート)を使ったり、メーカーによっては錠剤やカプセルがあるので剤形を確認する方法もあります。食前が基本とされることが多いものの、飲み忘れたら食後でもよく、胃が弱い方は食後にする場合もある、など“続けやすさ”への配慮も示されました。漢方は「自分に合う形」で使ってこそ力を発揮します。気になる症状があるときは、医師や薬剤師に相談しながら、無理なく日々の養生に取り入れていきましょう、という提案で締めくくられました。

次回、令和8年3月7日(土)の第170回まちなかリボンサロンは、広島大学病院 作業療法士 金山 亜希 先生に、「肩の運動とリンパ浮腫予防」をテーマにご講演いただく予定としております。

次回もZoom配信開催となります。ご期待ください。