2025年4月に開催された第159回まちなかリボンサロンでは、広島大学病院 形成外科の佐々木彩乃先生をお迎えし、「乳房再建 ~自分に合った再建方法の見つけ方~」をテーマにご講演いただきました。
講演では、乳房再建においては「4つのステップ」が大切であることが紹介され、まず最初の「Step1:自分に合った決め方を確認する」についてご説明いただきました。
乳房再建は、必ず受けなければならない手術ではありません。そのため、自分自身が再建を望むかどうか、望む場合はどのタイミングで行うのかを判断する必要があります。そして、選択したタイミングによって手術の回数や方法も異なるという点が強調されました。
さらに、再建について考えるためにどのくらい時間的な余裕があるかを把握しておくことも大切です。主治医に相談し、落ち着いて情報を整理しながら検討することの重要性についてもお話がありました。
次に「Step2:選択肢を知る・比べる」についてのご説明がありました。乳房再建にはいくつかの方法があり、それぞれに医学的な特徴と日常生活への影響という2つの側面があるため、事前に理解し比較することが大切だとお話しされました。
保険適用の再建法としては、大きく「乳房インプラント」と「自家組織による再建」の2つがあります。インプラントは手術時間や入院期間が短く、身体への負担や傷も少ない一方で、カプセル拘縮や破損のリスクがあり、長期的なメンテナンスが必要になります。自家組織再建は自然な柔らかさが得られる反面、手術が大がかりで、採取部位に傷が残るなどの負担があります。
また、体型や体のバランスによって適した方法が異なるため、主治医による診察と相談が必要です。特に放射線治療を受ける場合は、再建の時期や方法に制限が出ることもあるため注意が必要です。
さらに、再建後の生活における身体の動きやすさ、服装の好み、家事の負担、家族からの支援体制、費用面なども含めて、総合的に考えることが大切です。
「Step3:選択肢について考えてみる」では、胸の形や傷の大きさ、術後の生活、費用、回復にかかる時間、ライフスタイルとの両立などを、自分の価値観に照らして考えることが大切です。
乳房再建には多くの選択肢があるため、迷いやすく、気持ちが不安定なときには情報を整理するのが難しく感じることもあります。そんなときは、無理をせず医療従事者に相談し、必要であれば心のサポートを受けることも大切です。
最後の「Step4:決断する」では、これまでに得た情報や自分の価値観をもとに、納得のいく選択ができるかを確認することの大切さが語られました。
まずは、各選択肢のメリット・デメリットを理解し、自分にとって何が大切かを整理すること。そして、支援や助言を受けながら「自分で納得できる選択」かどうかを見極めることが重要です。
もし迷いや不安がある場合は、無理に決めず、Step1〜Step3に立ち戻って見直すこともすすめられました。
また、他の体験者の声も参考になりますが、感じ方には個人差があるため、受け止め方には注意が必要です。あわせて、書籍やインターネットなどを活用し、多角的に情報を集めることも有効です。
講義の最後には、「大切なのは、自分の価値観に合った選択をすること。答えは人それぞれにある」という言葉で締めくくられました。
令和7年5月10日の第160回まちなかリボンサロンは、県立広島病院 放射線治療科 土井 歓子 先生『知って安心!乳がんに対する放射線治療の基本と最新情報』をテーマにご講演いただきます。