HBOCがわかり手術予定です。反対側の乳房を切除する必要はありますか?

2022年8月10日  , 

HBOC(遺伝性乳がん)がわかり今月末に手術後予定です。右側1箇所が浸潤がん、ホルモン陽性、ハーセプチン不要、がんの顔つき2、がんの勢い高、BRCA2陽性。PETCTでの転移なし。針生検を右側3箇所行い良性、乳頭腫、乳がん、左側1箇所に増殖性病変が見つかりました。HBOCなので両側全摘不可避と思っていたのですが先生から左側の病変のみ摘出することも提案されました。患側、両側どちらの手術でも良いとの事で悩んでいます。片方を残すことで再発の不安、今、48歳なので再発した際の年齢(60、70代)での手術に体力がもつか?仕事を再び休まないといけないことなどを考えると全摘が良いのかと考えています。5年前に子宮筋腫で子宮、卵巣とも全摘しておりこちらについては心配はないのですが。HBOC乳がんの方の標準的な手術方法、望ましい手術方法があれば教えていただきたいです

手術の術式に関して、いろいろな要素を鑑みてご検討なさっていると思います。
ご質問の文面からも既にしっかり検討されご理解いただいている様子がうかがえます。癌の診断はなくとも対側に何かしらの所見があるとのことですが、おっしゃる通り今回の乳癌手術時に両側乳房の全切除も選択できます。
「できる」と「しなければならない」には大きな差があり、「できる」という表現が望ましいのは今回の乳癌の治癒を目指す観点からは選択に自由があるからです。
HBOCであることが判明している以上は懸念なさるように今まだ40代であることを考慮すると、もう一度乳癌を経験する可能性は少なからずあります。
今がお元気でリスク低減手術によるメリットと、整容性や体への負担を天秤にかけられてご自身が有用と思われる方法をお取りいただくのが良いと思います。
もともとは「両側を全切除」とお考えであったのであれば、今、担当の先生に対側の部分切除(摘出生検でしょうか?)に関しても選択肢があることを聞かれて迷われているのかどうか、今一度、お気持ちの理由をよくお考えいただき、ご質問の文面に書かれているような「両方全摘」の選択でよいと感じられるのであれば、その選択で乳がん治療の観点からもリスク低減の観点からも間違いがないと思います。
いずれの選択をなさっても、今後のがんリスクに関して担当の医師はしっかりサポートと監視をしていきますので、頑張ってください!
文責:広島大学病院乳腺外科 恵美純子