術後タモキシフェン内服中に反対側の乳房にも乳がんができたようです。治療法はどうなるのでしょうか?

2020年6月1日   

1年8ヶ月前に右胸全摘の手術を受けました。ルミナールA ステージIIaでしたので、術後はタモキシフェンのホルモン療法のみで過ごしています。
ところが、先日、タモキシフェンを飲んでいたにも関わらず、反対側も乳がんの可能性高いとのことで検査を受けました。現在結果待ちです。もし、タモキシフェンを飲んでいたのに、乳がんができたということであれば、ホルモン療法の効かない乳がん(悪性度の高い乳がん)ができてしまったとのことでしょうか?もう、抗がん剤などの治療しかないのではないかと不安で仕方がないです。

質問には書いてなかったのですが、術後タモキシフェンということなので、閉経前乳がんとして回答させていただきます。今回の反対側のものが乳がんであれば、ご指摘のようにタモキシフェン抵抗性であると言えます。しかし新たな乳がんで根治可能と考えますので、術後閉経前ホルモン療法の中から選ぶようになると思います。これを再発で根治不能と考えると、LHRHアゴニスト+フェソロデックス+CDK4/6阻害剤になりますが、根治不能とは考えにくいので、その場合、LHRHアゴニスト+アロマターゼ阻害剤になるかと考えます。また気になるのが乳がんが出来やすい体質ということで、遺伝性乳がんの可能性はないですか?ご家族に乳がん、卵巣がんが多いとか、45歳以下の乳がんとか、いくつかの項目のうち1つでも該当すると、保険診療で遺伝カウンセリング+遺伝子検査が受けられます。そこで遺伝子異常があった場合、両側の乳房手術など保険でカバーされる範囲が広がることがこの4月から認められました。今回手術をするから前回手術した方も再建する、なども保険で認められのではないかと思います。細かいことはわかりませんので、主治医とご相談ください

 

文責:広島大学病院乳腺外科 角舎学行