ホルモン受容体が弱陽性の場合、ホルモン治療の効果は期待できるのでしょうか?

2020年8月11日   

2019年11月に左胸全摘手術を受け、1月よりEC×4回、ドセタキセル+ハーセプチン×4回を完了して現在ハーセプチン単独投与をしています。
術後病理検査結果は以下の通りです。
浸潤径:12ミリ グレード:2 Ki67:27.24%
ホルモン受容体:ER→4.55%、PgR→0.00%
脈管侵襲無し HER2遺伝子陽性
リンパ節転移陰性

主治医からは、ホルモン受容体が弱陽性で10%未満の為、ホルモン治療による効果が期待できないのでやりませんと説明がありました。
ただ、再発や転移に対する不安から、本当にホルモン治療をしなくていいのか疑問を持つようになりました。
私のような場合、ホルモン治療を上乗せすることに効果はないのでしょうか?

結論から書きますと、ホルモン受容体弱陽性でも、ホルモン療法の効果は期待できます。

昔ながらには、ホルモン療法の効果を検討する臨床試験は、ホルモン受容体10%以上を対象に行われていたようです。2010年の国際的なガイドラインから、ホルモン受容体は1%以上を陽性と判断するようになり、1%以上であればホルモン療法を行うことが増えてきています。ただし、1~10%の場合に、10%以上の場合と同じように効果が期待できるというわけではありません。

1~10%の場合のホルモン療法の効果は十分には分かっていません。ホルモン受容体弱陽性(1~10%)の場合は、ホルモン療法の効果は期待できるが、その期待値は小さくなるとお考え下さい。

そのため、ホルモン療法の使用を、1%以上と考える場合と、10%以上と考える場合とが未だに混在しています。

主治医の先生との相談の参考としてください。

文責:広島大学病院乳腺外科 笹田伸介