乳製品を摂取しても乳がんに影響はないでしょうか?

2019年12月11日   

ルミナルAタイプで、術後、アロマターゼ阻害剤を服用しています。乳がんガイドラインのQ&Aには、乳製品と再発の関連は認められてないが、研究が少なく結論を導き出すのは困難とありますが、牛の成長を促すために、ホルモン剤が使用されているため、それが、ルミナルタイプだと、がんの増殖になるのでは?と心配しております。
せっかく、ホルモン療法をしているのに、無駄になるのではないかと思い、なるべく避けていますが、一方では、骨粗しょう症の予防のためには乳製品が良いのでは?と悩んでいます。

ご質問をいただき有難うございます。

回答ですが、高脂肪の乳製品を過剰摂取することにより乳がんの再発および死亡リスクが増加する可能性があります。一方で、低脂肪の乳製品(スキムミルクなど)の摂取は乳がんの再発や死亡リスクに影響しないことが示されています。そのため、乳がんのリスクが心配な方には、低脂肪の乳製品を摂取することをお勧めします。

質問者が指摘されているように乳製品の脂肪には大量の女性ホルモンが含まれており、乳がん診断後の再発や死亡に影響する可能性が指摘されていました。ヨーロッパ人を対象とした研究において、高脂肪乳製品を日常的に摂取するグループでは、乳がん再発や死亡リスクが増加する結果が示されています(J Natl Cancer Inst;2013;105:616–623)。ただし、日本人における乳製品の影響は明らかにされていません。また、ヨーロッパでは妊娠牛から牛乳を搾取するため、日本の製品よりも乳製品の女性ホルモン含有量が多い可能性があります。今後の研究結果が待たれる状態です。

骨粗しょう症予防において乳製品摂取は推奨されますが、その影響は限定的です。骨粗しょう症予防には食事のみならず、運動指導や体重管理(痩せすぎない)、禁煙や過度のアルコールを避けるなど、総合的な生活習慣が推奨されています。よって、乳製品を禁止したとしても、魚類などの摂取で影響は解消できると考えます。

この度は貴重な質問をいただき有難うございました。

今後も、乳がん治療を頑張ってください。

 

文責:呉医療センター乳腺外科 重松英朗