「抗がん剤で免疫を失う」という記事を読みました。本当でしょうか?

2020年3月5日   

2020.3.2日経朝刊15面の記事「予防接種2回目も助成を」という記事を読んでの質問です。「抗がん剤治療で免疫を失った子に 親らが要求」ということですが、抗がん剤治療などで免疫を失うのは子供だけで、大人の場合は過去に獲得した免疫を失うことがないのかという素朴な質問です。

なかなか難しい質問ですね。ネットで見てみると「 ワクチンに詳しい大阪市立総合医療センターの天羽(あもう)清子医師(小児救急科)によると、骨髄移植だけでなく、抗がん剤などの化学療法でも抗体をつくる細胞が少なくなり、過去に受けたワクチンの効果が失われることはありうるという。」と書いてあります。要するに、体の中の免疫力を司るリンパ球など骨髄機能を徹底的に抑制して、ほぼ免疫が入れ替わるくらいの治療、例えば、骨髄移植や血液疾患に対して化学療法をした場合のことのようですね。乳がんの化学療法はこれには当てはまらないので、子供とか大人ではなくて、がんの種類、化学療法の種類によるようです。

 

文責:広島大学病院乳腺外科 角舎学行