術後治療として、化学療法なしのハーセプチン単独療法でも大丈夫でしょうか?

2020年6月14日  , 

今年3月に温存手術をしました。
ステージI(腫瘍7ミリ) HER2 3+  グレード1 Ki67 3% のトリプルポジティブです。主治医から再発率の低いタイプなのでハーセプチン単独(抗がん剤なし)を薦められています。でも、ネットなどで抗がん剤と一緒にするものだと目にするので、本当にそれでよいか不安です。それで一度、抗がん剤も一緒に受けたいと伝えたところ、他の乳腺外科の先生達とも話し合ってくれたようで他の先生も同じ意見だと伝えられました。今は術後にHER2陽性がわかったので放射線治療中です。

ご質問ありがとうございます。

HER2陽性乳癌に対する術後の治療は、過去の臨床試験の背景から、リンパ節転移陽性や浸潤腫瘍径が1cm以上の場合に、ハーセプチンと抗がん剤を行うことが推奨されています。しかし、1cm未満でもHER2陽性の場合は陰性の場合と比べると再発率が高く、比較試験のような高いエビデンスではありませんが、術後にハーセプチン(+抗がん剤)を行う方が予後を改善させることが示されています。このため、浸潤径が5mm以上の場合には、ハーセプチン1年間とパクリタキセル毎週12回を行うことが多いです。ただ、質問者様の場合、HER2陽性であってもグレードやKi-67が低く、元々再発率が低いと予測される状況なので、副作用を伴う抗がん剤を行うべきか悩むところです。ちなみに、再発リスクを予測するPREDICTという海外のツールでは、質問者様の場合、10年生存率が手術のみで94%、ハーセプチンと抗がん剤併用を行うと仮定すると96%になりました。デメリットである副作用は、タキソールではしびれが最も問題となりますが、治療中約3%の方に日常生活に支障がでるようなしびれがみられ、治療終了後もなかなか改善しないこともあります。

このようなことから主治医の先生はハーセプチンとホルモン療法を勧められたのだと思います。治療の決断の参考になれば幸いです。

 

文責:県立広島病院臨床腫瘍科 土井美帆子