針生検で「浸潤性のある乳管癌・グレード2・ホルモン受容体陽性」と言われましたが、「浸潤」とは何なんでしょうか?

2022年6月6日   

CTで12ミリのしこりがあり、針生研の結果は「浸潤性のある乳管癌・ホルモン受容体陽性・HER2陰性・グレード2・ステージ1~2の間くらい」でした。
手術で全切除して、「リンパ節転移なし・ステージ1だろう」と言われました。
現在は切除した部分の検査結果まちです。結果まであと2週間、不安でたまらなく教えてください。
針生検で「浸潤性がある」ということは、癌の芽は乳管から洩れ出て全身に運ばれたということでしょうか。乳管から出ている出ていないは、手術のときに分かるものなのでしょうか。CTでは乳管に添って癌が伸びている可能性があり、それを含めると全体で5センチくらいになると言われました。

手術が終わったばかりで最終的な病理報告をもとに今後の説明を聞くまでは不安な日々を過ごされているものとお察しします。
 乳がんは乳管という細い管の中で発生し、成長してくると管を破って管の周りに広がっていきます。管の周りには小さな血管やリンパ管があり、そこを経由して全身に広がるといわれています。しかし一方で、広がったがん細胞のすべてが全身転移として再発するわけではありません。何らかのきっかけで全身のどこかに定着したものだけがいわゆる転移、再発といわれるものになります。
 おっしゃるように「「浸潤性がある」ということは癌の芽は乳管から洩れ出て全身に運ばれた」という可能性があります。そこでホルモン治療や抗がん剤などの全身治療を手術後に行い(術後補助療法)、全身に回っているだろうと思われる乳がん細胞を全身のどこかに定着する前にやっつけてしまうことで、より再発を減らし完治する確率をさらに上げます。特に乳がんの場合は手術に加えて行う術後補助療法は再発させないことに対してかなり有効であり大切な治療となります。
 乳がん細胞が乳管から出ているかどうかは、肉眼では確認できない小さな構造の話なので手術中に肉眼で確認することは不可能です(術中迅速病理診断でも完全に断定することは困難です)。手術で摘出した病変を適切な管理のもとで適切な処理(日数がかかります)をしたうえで病理専門の先生に顕微鏡で確認してもらい初めて判断可能となります。これがいわゆる最終病理診断となります。どんな治療をどこまでするかは、術前の乳がんの状態と最終病理診断(再発リスクの評価)、ご本人の体力・社会的状況(治療による生活への影響の評価)など総合的に判断して今後主治医の先生から説明がされるものと思います。
文責:えたじま幸田医院 / 島の病院おおたに 安井大介