2025年5月10日(土)第160回まちなかリボンサロン(WEB形式)開催の報告

第160回まちなかリボンサロンでは、県立広島病院 放射線治療科の土井 歓子先生をお迎えし、「知って安心!乳がんに対する放射線治療の基本と最新情報」をテーマにご講演いただきました。

  

講演の前半では、先生のご所属である放射線治療科の施設や、最新の放射線治療装置の特徴について、実際の写真を交えながらご紹介いただきました。治療機器は、正確な照射を可能にするために様々な画像誘導システムを搭載しており、近年では体に線を引かずに位置合わせができるシステムなども導入されているそうです。

  

また、放射線治療は「熱くも痛くもない」治療であること、治療中も普段通りの生活ができることなど、安心できる情報が多数共有されました。

 

続いて、乳がんの治療において放射線治療がどのような役割を担っているのかについて、わかりやすくご説明いただきました。乳房温存術を受けた方には、目に見えないがん細胞を抑える目的で放射線治療が行われることが基本となっており、その効果については医学的な裏付け(研究データ)も多く示されているとのことでした。

また、年齢や病状によっては照射を省略できるケースがあるという最近の研究結果も紹介され、治療は一人ひとりに合わせた柔軟な選択が可能であることが語られました。

 

講演ではさらに、鎖骨や脇の下などへの照射が必要な場合の治療方法の違いや工夫、そして近年注目されている「定位放射線治療」についても触れられました。これは高精度な技術を活かして、がんのある場所にだけ強い放射線をピンポイントで照射する治療法であり、手術が難しい場合にも大きな効果が期待されているとのことです。

 

また、「オリゴ転移」といって、遠隔転移がごく少数の場合に局所照射で対応するという新しい考え方も紹介され、最新の治療動向を知ることができる貴重な機会となりました。

講演の最後には、「放射線治療が必要かどうか、どのような方法が適しているかは、ご自身の病状や価値観に応じて、まずは主治医の先生とよく相談することが大切です」と語られました。

治療の選択肢が広がる中で、自分にとって納得のいく選択をするためにも、正しい情報にふれ、安心して治療に臨めることが大切であると、温かいメッセージを添えて締めくくられました。

次回、令和7年6月10日の第160回まちなかリボンサロンは、スキンケアについてをテーマにご講演いただく予定としております。詳細が決まり次第、改めてホームページ上でお知らせいたします。