乳がんと告げられると、気持ちが動揺したり、落ち込んでしまうことは当然の反応です。しかし乳がんはきちんと治療することで治せる可能性が高い病気です。周囲のサポートを得ながら、治療準備を進めていきましょう。
また、乳がんの治療中や治療後は仕事を続けることは可能です。普段の生活の合間で治療を行うことができます。早まって仕事をやめずに、まずは家族や職場、患者会やがん支援センター(治療を行う病院内に設置)に相談をしましょう。
治療を始める前に、全身への転移(CT)や乳房内のがんの広がり(MRI)を確認します。そして乳がんのタイプや進行度をもとに治療計画を立てます。
治療は乳がんの状況によって手術、ホルモン剤、抗がん剤治療、放射線治療を組み合わせます。
治療期間の目安
- 手術は入院1週間前後
- 放射線は1か月程度の通院
- 抗がん剤は3~6か月の通院
- ホルモン治療は5~10年通院
手術の入院以外は外来通院で治療することがほとんどです。仕事をされている方は早まって退職せず、主治医と相談しながら治療スケジュールを確認しましょう。
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よくある良性疾患
- ① 線維腺腫(せんいせんしゅ)
- 代表的な良性腫瘍です。がん化はほとんどあり ませんが、良性腫瘍のある方はがんができやすく (1.7倍)注意が必要です。年1回の精密検査をお勧めします。
- ② 乳腺症
- 30-40代に多く、主な症状は乳房が固く感じたり、乳房の痛み、異常な乳頭分泌です。月経周期に伴って起こり、がん化はほとんどありませんが、症状が続く場合は受診をお勧めします。
- ③ 嚢胞(のうほう)
- 水の袋です。ほとんどがん化はありません。通常の検診で経過を見てください。
- ④ 石灰化
- 母乳が通る管や、母乳を作る部位の分泌液に生じた沈殿物によって石灰化が生じます。ほとんどの石灰化は良性ですが、疑わしい石灰化は1年毎の精密検査が望ましいことがあります。
その他にもがん化の可能性のあるもの、ないものとさまざまな良性疾患があります。
その後の定期的な検査の仕方は、病状、施設によって異なります。検査を受けた精密検査施設の指示に 従ってください。
Eさん
要精査と言われ、検査をして繊維線種(せんいせんしゅ)と言われました。その後、精密検査を受けた病院で診てもらっています。少しずつ受診間隔が延びてきて、今度受診して大丈夫だったら、通常の検診に戻る予定です。
HBOC(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)
乳がんの5~10%に存在します。家族に乳がん、卵巣がんなどを若くして発症した方がおられる家系は可能性がありますが人口の0.2%と多くはありません。疑わしい家系の方は精密検査施設でのこまめな検診をお勧めします。