2023年11月4日(土)第142回まちなかリボンサロン(WEB形式)開催の報告

第142回まちなかリボンサロンでは、香川乳腺クリニック院長の香川直樹先生に『乳がん治療とリンパ浮腫~リンパ浮腫にならないための工夫~』と題してご講演いただきました。

 

まず、リンパ浮腫が何によって起こるのか、リンパ節郭清術後のリンパ浮腫発症率は10年間でおよそ50%以上にのぼることをご説明いただき、その予防のためには、リンパ浮腫を良く知って、予防する、早期発見して重症化させないことが肝要であると説いておられます。

   

次に、多くの人が何となくでしか知らない「そもそもリンパとは何か」というレクチャーと、具体的にリンパ節郭清術後に腕がどのような状態になるのか、どのようにリンパ浮腫を引き起こすのかというご説明をいただきました。

 

また、現在はこのリンパ浮腫の発症を抑える取り組みとして、手術前の「センチネルリンパ節生検」という検査に取り組んでいるということでした。

この検査は、リンパ液に乗ってがん細胞がたどり着くリンパ節にがん細胞があるか否かを調べる検査で、これによってがん細胞が発見されなければ、転移が無いと判断し、腋窩リンパ節を郭清しないという選択ができるというものです。

これによって文献では1/3~1/10までリンパ浮腫を減らすことが可能ということです。

 

しかし、いずれにせよ、リンパ節浮腫はケアが必要であり、リスク因子が3以上ある場合は非常に発症リスクが高く、注意が必要であること、その予防のためには肥満を抑えて体重管理を行う事や適度な運動が大切であることをお教えいただきました

  

最後に、合併症として起きやすい蜂窩織炎(ほうかしきえん)のご説明と、発症時には直ちに受診という助言をいただいた後、香川先生が独自で取り組んでおられる勉強会や動画の配信をご紹介いただき、閉講となりました。

   

サロン後のアンケートには「ゆっくりとかみ砕いた説明を繰り返していただき、どのようなメカニズムや要因でリンパ浮腫を発症するのかとてもよく理解出来ました。」「危険因子の「確実」「ほぼ確実」等の区別や、蜂窩織炎の症状や対処法は特にためになりました。」「この先の手術や経過に対する不安が解けていくように感じました。」など感想が寄せられました。

次回は、広島大学病院栄養管理部 天野加奈子先生に『とても大切な”栄養”のお話~美味しく、楽しく食べるコツ~』と題してご講演いただきます。

朝の冷え込みが一層厳しくなり、体調の崩しやすい日が続いています。皆様にはどうかお身体大切にお過ごしください。次回もご参加お待ちしております。