2026年7月4日(土)第174回まちなかリボンサロン(WEB形式)開催の報告

第174回まちなかリボンサロンでは、「診察室では聞けなかった乳がん治療のなぜ? 術前・術後の不安との付き合い方」をテーマに、東広島医療センター乳腺・内分泌外科の鷹屋桃子先生からお話しいただきました。広島生まれ広島育ちで、一度県外に出た後に地元へ戻られたという先生は、趣味のスポーツ観戦にも触れながら、講演を始められました。

  

乳がんの治療には手術、放射線治療、抗がん剤、ホルモン療法などがありますが、目的は今ある癌を取り除く・小さくすること、手術後の再発を減らすこと、癌による症状を和らげることの三つに整理できると説明されました。体内では細胞分裂で生じた異常な細胞を免疫細胞が日々排除していますが、その監視をすり抜けて増殖したものが癌になるといいます。乳がんの多くは乳管の中にとどまる非浸潤がん(ステージ0)から始まり、乳管の壁を越えると浸潤がんと呼ばれる段階に進むそうです。

 

手術は目に見える癌を取り除き、薬物療法は全身に散らばった見えない癌細胞を攻撃し、放射線治療は温存乳房などに新たな病気の芽が出ないようにするというように、三つの治療が連携していると説明されました。手術で癌を取り切っても薬物療法が必要なのは、細胞レベルでは癌が体に残っている可能性があるためだそうです。

  

治療には副作用も伴い、ホルモン療法による関節痛やほてり、抗がん剤による吐き気などが紹介されました。症状をゼロか百かで考えず、熱中できることへ意識を向けたり気持ちを言葉にしたりすることが助けになるといい、生活に支障が出るほどつらい場合は我慢せず伝えてほしいと呼びかけられました。  

検査については、マンモグラフィーは石灰化の発見に優れ短時間で済む一方で痛みや被ばくを伴い、超音波検査は痛みがない反面、検査者によって見え方が異なることもあるなど、それぞれに得意・不得意があると説明されました。手術後の傷跡は超音波でギザギザした構造に映ることがありますが、多くは「術後変化」であり新たな癌ではないとのことです。「異常なし」は「症状がない」こととは異なり、傷跡周辺のしびれや違和感は手術の影響として残ることもあるといいます。

 

再発を疑う症状としては急な息切れや骨の痛み、新しいしこりが挙げられ、天気の悪化にともなう痛みは多くの方に見られる変化だそうです。地域のクリニックをかかりつけとして持つことも勧められました。

  

インターネットの情報については、SNSでは副作用や再発といったネガティブな体験の方が拡散されやすく、順調な人の声は目立ちにくい構造があると説明されました。乳がんはタイプやステージ、治療内容によって状況が大きく異なるため、他の患者と比較しすぎないことが大切だといいます。情報を集める際は日本乳癌学会のホームページなど根拠のある情報源を選び、生成AIは情報整理のツールとして活用しつつ情報を鵜呑みにせず、最終判断は主治医と相談してほしいとのことでした。

最後に先生が強調されたのは、インターネットの情報だけを理由に、自己判断で治療をやめないでほしいという点です。症状がつらく治療の継続が難しいと感じたときは、まずは主治医に連絡し相談してほしいというメッセージで講演が締めくくられました。

次回、令和8年8月1日(土曜日)の第175回まちなかリボンサロンは、広島大学病院 形成外科の佐々木彩乃先生に「乳房再建」をテーマにご講演いただく予定です。
次回もZoom配信にてお届けする予定です。ぜひご参加ください。