まちなかリボンサロン
ハイブリット形式で開催していましたが、現在はオンラインのみで行っています。

2025年6月7日(土)第161回まちなかリボンサロン(WEB形式)開催の報告

第161回まちなかリボンサロンでは、第一三共ヘルスケア株式会社に勤務されている看護師の東島愛美先生をお迎えし、「がん治療中に起こりやすい皮膚症状と日常から取り入れたいスキンケア」をテーマにご講演いただきました。

今回の講演では、乳がんの治療を受ける中で多くの方が気になる「皮膚のケア」について、看護の視点から丁寧にご説明いただきました。

 

はじめに、スキンケアの基本について、「皮膚を洗って清潔に保つこと」「しっかり保湿をすること」の2点がとても大切であることが強調されました。特に放射線治療を受けている患者さんにとっては、治療部位の皮膚が乾燥したり、赤くなったり、時には皮がむけてしまうこともあり、毎日のスキンケアが皮膚を守る大きな力になるというお話でした。

 

具体的には、ボディソープは刺激の少ないものを選び、泡で優しく洗うこと、タオルでこすらずにそっと押さえるように拭くことなど、日常生活ですぐに実践できるケア方法がたくさん紹介されました。また、入浴後はなるべく早く保湿剤を使うこと、季節や肌の状態に応じてローションやクリームなどを使い分けるとよい、とのアドバイスもありました。

 

さらに、照射後の皮膚症状には個人差があるため、「みんな同じ症状になるわけではない」ということもお伝えくださいました。症状が出たときには、無理に我慢せず、医師や看護師に相談してほしいというメッセージが繰り返され、安心して治療を受けるための体制が整っていることを実感できる内容となりました。

また、紫外線対策についても触れられ、放射線治療中は治療部位に日焼け止めを塗ることは避けた方がよいこと、代わりに衣服でカバーする工夫をすることが望ましいと説明されました。

 

講演の後半では、参加者の方々からの質問にも丁寧に答えてくださり、「いつまでスキンケアを続けたらいいの?」「どの保湿剤がいいの?」といった具体的な疑問にも分かりやすくご対応いただきました。

先生は、「正解はひとつではなく、自分の肌に合った方法を見つけることが大切」とお話しされ、治療中の心と体に寄り添ったケアの大切さを温かく伝えてくださいました。

 

講演の最後には、「スキンケアはがんの治療を支える大切な土台。気になることがあれば、遠慮せず医療スタッフに相談してくださいね」と優しく締めくくられ、参加者からは「今後は成分を見て選ぼうと思った」「保湿が大切だという事を改めて実感した」といった声が聞かれました。

次回、令和7年7月5日の第162回まちなかリボンサロンは、そうごう薬局天神中央店
薬剤師江淵 愛先生に、「乳がん治療による副作用とうまく付き合うための工夫とケア」をテーマにご講演いただく予定としております。詳細が決まり次第、改めてホームページ上でお知らせいたします。

2025年5月10日(土)第160回まちなかリボンサロン(WEB形式)開催の報告

第160回まちなかリボンサロンでは、県立広島病院 放射線治療科の土井 歓子先生をお迎えし、「知って安心!乳がんに対する放射線治療の基本と最新情報」をテーマにご講演いただきました。

  

講演の前半では、先生のご所属である放射線治療科の施設や、最新の放射線治療装置の特徴について、実際の写真を交えながらご紹介いただきました。治療機器は、正確な照射を可能にするために様々な画像誘導システムを搭載しており、近年では体に線を引かずに位置合わせができるシステムなども導入されているそうです。

  

また、放射線治療は「熱くも痛くもない」治療であること、治療中も普段通りの生活ができることなど、安心できる情報が多数共有されました。

 

続いて、乳がんの治療において放射線治療がどのような役割を担っているのかについて、わかりやすくご説明いただきました。乳房温存術を受けた方には、目に見えないがん細胞を抑える目的で放射線治療が行われることが基本となっており、その効果については医学的な裏付け(研究データ)も多く示されているとのことでした。

また、年齢や病状によっては照射を省略できるケースがあるという最近の研究結果も紹介され、治療は一人ひとりに合わせた柔軟な選択が可能であることが語られました。

 

講演ではさらに、鎖骨や脇の下などへの照射が必要な場合の治療方法の違いや工夫、そして近年注目されている「定位放射線治療」についても触れられました。これは高精度な技術を活かして、がんのある場所にだけ強い放射線をピンポイントで照射する治療法であり、手術が難しい場合にも大きな効果が期待されているとのことです。

 

また、「オリゴ転移」といって、遠隔転移がごく少数の場合に局所照射で対応するという新しい考え方も紹介され、最新の治療動向を知ることができる貴重な機会となりました。

講演の最後には、「放射線治療が必要かどうか、どのような方法が適しているかは、ご自身の病状や価値観に応じて、まずは主治医の先生とよく相談することが大切です」と語られました。

治療の選択肢が広がる中で、自分にとって納得のいく選択をするためにも、正しい情報にふれ、安心して治療に臨めることが大切であると、温かいメッセージを添えて締めくくられました。

次回、令和7年6月10日の第160回まちなかリボンサロンは、スキンケアについてをテーマにご講演いただく予定としております。詳細が決まり次第、改めてホームページ上でお知らせいたします。

2025年4月5日(土)第159回まちなかリボンサロン(WEB形式)開催の報告

2025年4月に開催された第159回まちなかリボンサロンでは、広島大学病院 形成外科の佐々木彩乃先生をお迎えし、「乳房再建 ~自分に合った再建方法の見つけ方~」をテーマにご講演いただきました。

  

講演では、乳房再建においては「4つのステップ」が大切であることが紹介され、まず最初の「Step1:自分に合った決め方を確認する」についてご説明いただきました。

乳房再建は、必ず受けなければならない手術ではありません。そのため、自分自身が再建を望むかどうか、望む場合はどのタイミングで行うのかを判断する必要があります。そして、選択したタイミングによって手術の回数や方法も異なるという点が強調されました。

さらに、再建について考えるためにどのくらい時間的な余裕があるかを把握しておくことも大切です。主治医に相談し、落ち着いて情報を整理しながら検討することの重要性についてもお話がありました。

  

次に「Step2:選択肢を知る・比べる」についてのご説明がありました。乳房再建にはいくつかの方法があり、それぞれに医学的な特徴と日常生活への影響という2つの側面があるため、事前に理解し比較することが大切だとお話しされました。

保険適用の再建法としては、大きく「乳房インプラント」と「自家組織による再建」の2つがあります。インプラントは手術時間や入院期間が短く、身体への負担や傷も少ない一方で、カプセル拘縮や破損のリスクがあり、長期的なメンテナンスが必要になります。自家組織再建は自然な柔らかさが得られる反面、手術が大がかりで、採取部位に傷が残るなどの負担があります。

  

また、体型や体のバランスによって適した方法が異なるため、主治医による診察と相談が必要です。特に放射線治療を受ける場合は、再建の時期や方法に制限が出ることもあるため注意が必要です。

さらに、再建後の生活における身体の動きやすさ、服装の好み、家事の負担、家族からの支援体制、費用面なども含めて、総合的に考えることが大切です。

  

「Step3:選択肢について考えてみる」では、胸の形や傷の大きさ、術後の生活、費用、回復にかかる時間、ライフスタイルとの両立などを、自分の価値観に照らして考えることが大切です。

乳房再建には多くの選択肢があるため、迷いやすく、気持ちが不安定なときには情報を整理するのが難しく感じることもあります。そんなときは、無理をせず医療従事者に相談し、必要であれば心のサポートを受けることも大切です。

  

最後の「Step4:決断する」では、これまでに得た情報や自分の価値観をもとに、納得のいく選択ができるかを確認することの大切さが語られました。

まずは、各選択肢のメリット・デメリットを理解し、自分にとって何が大切かを整理すること。そして、支援や助言を受けながら「自分で納得できる選択」かどうかを見極めることが重要です。

もし迷いや不安がある場合は、無理に決めず、Step1〜Step3に立ち戻って見直すこともすすめられました。

 

また、他の体験者の声も参考になりますが、感じ方には個人差があるため、受け止め方には注意が必要です。あわせて、書籍やインターネットなどを活用し、多角的に情報を集めることも有効です。

講義の最後には、「大切なのは、自分の価値観に合った選択をすること。答えは人それぞれにある」という言葉で締めくくられました。

令和7年5月10日の第160回まちなかリボンサロンは、県立広島病院 放射線治療科 土井 歓子 先生『知って安心!乳がんに対する放射線治療の基本と最新情報』をテーマにご講演いただきます。

2025年3月1日(土)第158回まちなかリボンサロン(WEB形式)開催の報告

2025年3月の第158回まちなかリボンサロンは、福山市民病院看護部の賀出 朱美 看護師に『治療との向き合い方』をテーマにご講演いただきました。 

病気を疑い~検査を行い、結果の告知前、告知の後、全身の検査~治療方針を決めるという流れの中で、人の気持ちは大きく変わること、衝撃、防御的退行、承認、適応という気持ちの変遷を理解し、無理に前を向こうとせず、時間をかけて向き合うことの大切さが語られました。

診断後の「見通しの立たない不安」や「情報が多すぎて混乱するつらさ」に対して、どのように向き合えば良いのか、不安の正体や、なぜ「変化」が人を不安にさせるのかという背景を整理し、「わかること」が不安の軽減につながるという視点が示されます。

後半は、治療に向き合うためにできることとして、おおきくふたつのお話がありました。

①医療者との対話
医師と話すことはもちろん、看護師、薬剤師、医療ソーシャルワーカーなど、医師以外の専門職とも相談できる環境を作ることが大切。「誰に」「何を」相談すれば良いかを知っておくだけでも、不安は軽減される。ずっと悩みを抱えていると怒りや落ち込みを招くことになる

 

② 気持ちのコントロール
気持ちを整える方法として、「誰かに話す」「紙に書き出す」、「視点を変える」、「手放す事で全体を見る」「自分だけではない」「共感やつながりを持つ」などの方法をお教えいただきました。

 

最後に、がんの治療は主治医と相談しながら進めることになるが、ご自身の気持ちや普段の生活との向き合い方は自分次第のところがある。「自分らしく治療と向き合う」ことを真剣に考えて、心が少し隙間ができた時、今日のレクチャーを思い出してほしいという言葉で締めくくられました。

視聴者からは、「当時の一連の心理状態が整理できた」「周りの乳がん経験者に助けられたことを思い出した」などといった感想が寄せられました。

令和7年4月5日の第158回まちなかリボンサロンは、広島大学病院 形成外科 佐々木彩乃 先生に『乳房再建 ~自分に合った再建方法の見つけ方~』をテーマにご講演いただきます。

2025年2月1日(土)第157回まちなかリボンサロン(WEB形式)開催の報告

2025年2月の第157回まちなかリボンサロンは、呉医療センター・中国がんセンター乳腺外科の郷田 紀子 先生に『AYA世代乳がん患者さんが教えてくれる乳がん手術後により良い生活を送るためのヒントとは』をテーマにご講演いただきました。

まずは、AYA世代とはどんな世代かをご説明をいただき、その特徴についてお教えいただきました。AYA世代のがんは全体の約2%を占め、年間で約2万人が発症しているとのことでした。

次に最新の学会で注目された「乳房手術についての長期的な予後に関する報告」についてお話がありました。乳がんを発症した際の予防手術をした場合としなかった場合で生存率に差があることが判ったそうです。

がんの発症は遺伝子との関係が非常に深く、がんになりやすい体質を測るためには、いまだ自費診療であるものの、多遺伝子パネル検査が有効であり、がんの早期発見にも有用であるとの事をお教えいただきました。

また、AYA世代のがんサバイバーは内分泌合併症のリスクが高く、治療後10年経過した累積罹患率は糖尿病や甲状腺機能低下症などが最も高いことが判っています。

このような合併症の予防やがんの再発のリスクを可能な限り最小化するためには、術後も健康診断や人間ドックを活用する、生活習慣病を予防する事が肝要であると言われています。

最後に、呉医療センターでの患者さんについてお話をいただいた後、AYA世代の悩みや現状からどんなことが考えられるかをお教えいただき、ご自身をいたわって無理をしない健康的な生活をしていただきたいという言葉で締めくくられました。

視聴者からは、「AYA世代は糖尿病などのリスクが少し高くなると知り、自分の身体を大切にしていきたいと、ますます感じました。」などといった感想が寄せられました。

令和7年3月1日の第158回まちなかリボンサロンは、福山市民病院看護部の賀出 朱美 看護師に『治療との向き合い方(仮)』をテーマにご講演いただきます。