まちなかリボンサロン
ハイブリット形式で開催していましたが、現在はオンラインのみで行っています。

2024年9月7日(土)第152回まちなかリボンサロン(WEB形式)開催の報告

第152回まちなかリボンサロンは、広島市立北部医療センター安佐市民病院 病理診断科 金子 真弓 先生に『乳がんのより深い理解のために ~病理が導く治療方針~』をテーマにご講演いただきました。

 

まずは、病理とは何かについて教えていただきました。病理学は形態学を基盤としており、主に顕微鏡を使って診断を行います。病理診断は治療方針に大きな影響を与える重要な役割を果たします。特に、良性か悪性かの判断や、治療方法の選択に必要な情報を提供することが、病理診断の主な役割です。

 

人相からある程度性格がわかるように、顕微鏡で細胞を観察し、正常な細胞と比較してがんの特徴を見つけ出し、それに基づいて診断します。そして、個々のがんの特徴に応じて治療方針を決定するとのことです。

 

がんは遺伝子の異常によって発生する病気ですが、実際には毎日約5,000個ほどの遺伝子異常を持つ細胞(がんの芽)が生じているそうです。しかし、それらのほとんどは免疫や修復酵素によって排除され、がんに進行することは少ないとのことでした。

 

細胞とその仕組みについて教えていただいた後、実際に「がん」がどのような病気であるかについて説明がありました。がんは、細胞分裂の過程で遺伝子に異常が生じることで発生します。がん細胞は、通常の細胞と異なり、細胞分裂による増殖が止まらなくなるという特徴を持っています。

 

続いて、乳腺診療における病理の役割について、術前、術中、術後に分けて詳しく説明していただきました。

 

最後に、これまでのがん治療法に加えて、新たな治療法として注目されている「がん免疫療法」について、実際に見える画像などを交えて詳しく説明があり、セミナーは締めくくられました。

視聴者からは、「病理の話は何度聞いても難しいが、例え話のおかげで理解ができ、とても分かりやすかった」といった感想が寄せられました。

次回10月の第153回まちなかリボンサロンは、広島大学病院 薬剤部 布施 直美 先生に『上手なお薬との付き合い方とは?』をテーマにご講演いただきます。

まだまだ暑い日が続いております。くれぐれもご自愛ください。

2024年8月3日(土)第151回まちなかリボンサロン(WEB形式)開催の報告

第151回まちなかリボンサロンは、島根大学医学部付属病院 乳腺センター角舎 学行 先生に『より綺麗に乳房を残すための手術~ラジオ波焼灼療法と内視鏡補助下手術~』をテーマにご講演いただきました。

本題に入る前に、1988年から現在まで、乳がんは一貫して増え続けていることや、年間発生数が最も多いが比較的治療は進んでいる事など、現在の乳がんに関する情報提供がありました。

 

その後、乳がん治療におけるタイプ別治療法や治療薬、手術の進歩や変遷などを説明いただき、現在では乳房温存療法と乳房全切除術を比較して、その後の生存率には差が無い事が明らかになったとお教えいただきました。

  

そのため現在は、乳房を必要最小限切除し、筋肉を切らない、できるだけ綺麗な乳房を残すという取り組みが進められているです。

そこで最近注目されているのが、ラジオ波焼灼療法です。もともとは肝臓がんに使われていた治療法で、腫瘍に針を刺して電流を流し、その摩擦熱で腫瘍を焼くという方法です。

  

適応基準は限られますが、治療に要する時間は長くとも10分程度で、乳房に傷が残らない、変形が少ないなど大きなメリットがあります。デメリットとしては、手術をしないので、もし焼けていない箇所があっても判るまで時間がかかることや、病理所見が得られないことが挙げられました。

治療には認定を受けた術者が必須となっており、現在は全国で67名が術者認定されています。中四国では鳥取、香川、高知以外に術者がいるという状況です。

次に、内視鏡補助下手術についてご説明をいただきました。

  

脇に小さな2cmほどの傷を入れ、そこから内視鏡カメラを入れて、できるだけ傷跡を小さくすることが可能で、従来手術と比較して乳房の変形も少なく、本来の患者さんには良い選択してあると言えます。

 

最後に、究極の手術とは切らない事であり、術前薬物療法で腫瘍が消失したら、手術をしなくても良いのではないかという取り組みを現在は進めていることを仰られ、セミナーを締めくくられました。

聴講者からは「(新しい治療法や薬の進歩を知って)未来に希望を感じることができた」「デメリットもしっかり教えてもらい良く解った」などの感想が寄せられました。

次回9月の第152回まちなかリボンサロンは、広島市立北部医療センター安佐市民病院 病理診断科 金子 真弓 先生に『乳がんのより深い理解のために ~病理が導く治療方針~』をテーマにご講演いただきます。

2024年7月6日(土)第150回まちなかリボンサロン(WEB形式)開催の報告

第150回まちなかリボンサロンは、JA広島総合病院 腎臓内科 藤田 綾子先生に『一緒に考えてみませんか?腎臓を守るために気をつけること』をテーマにご講演いただきました。

まずは、人体における腎臓の主な働きについて、①老廃物の排泄、②水分・電解質の調整、③血圧の調整、④骨を強くする、⑤血液をつくる、役割を担う器官であるとのご説明をいただきました。

 

次に慢性腎臓病(CKD)についてお話をいただきました。CKDとは腎臓の働きが徐々に低下していく病気で、成人の7~8人に1人が発症している、国民病の一つです。

CKDが進行すると、倦怠感や貧血、夜間尿、息切れなどの症状が現れ、これらの症状が自覚症状となって現れた時には、かなり進行している場合が多いようです。

この自覚症状の乏しさから「沈黙の臓器」とも呼ばれる腎臓が病気になると、早期であれば治療で回復するが、腎臓機能がある程度低下すると元に戻すことが難しいため、異常の早期発見には、定期的な検査が大切だということでした。

 

万が一、既に腎臓機能が低下していしまっている場合は、進行を遅らせる治療が必要であり、普段の生活習慣の改善が必要になるという事です。

 

まず大切なのは、禁煙であり、喫煙は心血管病などの病気の危険因子でもあるためまず禁煙が重要となります。そのほか、適性な体重を維持するためにも運動不足の解消や、ストレスを避けて十分な睡眠が肝要です。

 

次に、同じく最も重要なのが減塩で、具体的な食事についての助言をいただきました。十分なエネルギーの必要量の目安や、重症度(ステージ)や症状に合わせた栄養素の制限も大切だということなどをお教えいただきました。くれぐれも自己判断は避け、医師に相談するようにとのことでした。

 

最後に、乳がん患者とCKDを関連付けるデータは見つけられませんでしたが、腎機能が低い状態では投薬ができなかったり、抗がん剤の使用によって腎機能低下のリスクがあるものが含まれているため、治療を進めて身体を守っていくためにも、腎臓にやさしい生活が肝要であると述べられ、レクチャーを締めくくられました。

次回8月の第151回まちなかリボンサロンは、島根大学医学部付属病院 乳腺センター角舎 学行 先生に『より綺麗に乳房を残すための手術~ラジオ波焼灼療法と内視鏡補助下手術~』をテーマにご講演いただきます。

皆様のご参加をお待ちしております。よろしくお願いいたします。

2024年6月8日(土)第149回まちなかリボンサロン(WEB形式)開催の報告

第149回まちなかリボンサロンは、広島大学病院 診療支援部 横山 枝杏華 先生に『進化を続ける超音波検査の世界 ~知ってほしい検査の大切さ~』をテーマにご講演いただきました。

まずは、そもそも超音波検査とはどんな検査であるのか、超音波とは何か、について説明をいただきました。他の検査と比較して、被曝が無く侵襲性が低い事や、リアルタイムで観察ができることなどをお教えいただきました。

  

次に、実際の検査において臨床検査技師は何を観ているのか、乳がんの殆どは乳管から発生する事などをご説明をいただきました。

  

実際に超音波検査の 画像をもとに、年代や授乳の有無などによって見え方が変わること、非常に個人差があることなどをご説明いただきました。

  

次に実際のしこり(腫瘤)がどのように見えるのか、良性と悪性の見え方の違いなどをご説明いただきました。悪性のしこりは、良性と比較して境界がはっきりしない、形が不整で石のように固いという特徴があるという事が分かりました。

   

最後に、検査は日々進化しており、単純な画質の向上のほか、より微細な血流の評価が可能になったり、3D画像が作れるようになったこと、AI技術の導入で見落とし防止などの技術が進んでいる事などをご説明いただいた後、「不安があった時には、遠慮する事なく声を聞かせてほしい」と述べられ、レクチャーを締めくくられました。

  

次回7月の第150回まちなかリボンサロンは、JA広島総合病院 腎臓内科 藤田 綾子先生に『一緒に考えてみませんか?腎臓を守るために気をつけること』をテーマにご講演いただきます。

皆様のご参加をお待ちしております。よろしくお願いいたします。

2024年5月11日(土)第148回まちなかリボンサロン(WEB形式)開催の報告

第148回まちなかリボンサロンは、広島大学病院 薬剤部 滝沢大吾先生に『教えて薬剤師さん!!!抗がん剤の副作用について』と題してご講演いただきました。

まずは、4つに大別される乳がん治療の方法と、それぞれに使用される治療薬について説明をいただきました。

  

それぞれの療法で起こり得る特徴的な副作用について、治療には必ず利点と欠点があることから、良い治療とは利点を大きくして欠点を小さくすることであり、欠点を小さくするうえで薬が重要になってくることを教えていただきました。

  

そのうえで、副作用を薬で抑えていくこと以外にも、運動療法や食事療法など様々な角度から症状に対してアプローチする事の重要性をご説明いただきました。

  

また、薬を服用する際の注意点(食事と薬には相互作用があること)や、服薬タイミングの注意点、飲む頻度や服用後の身体への血中濃度を一定に保つことが重要であり、用量や用法を守って服用する事が、副作用を抑え、最も効果のあることを教えていただきました。

 

最後に、薬による副作用は個人差があることや、体調次第で副作用の感じ方が変わるため、気になった場合は、医師や薬剤師、看護師に相談してほしいと仰られ、共に解決策を模索していきたいと述べられ、レクチャーを締めくくられました。

次回6月の第149回まちなかリボンサロンは、広島大学病院 診療支援部 横山 枝杏華 先生に『進化を続ける超音波検査の世界 ~知ってほしい検査の大切さ~』をテーマにご講演いただきます。

皆様のご参加をお待ちしております。よろしくお願いいたします。