第177回まちなかリボンサロンでは、「一緒に学ぶ超音波検査の世界 ~検査技師は何を見ている?~」をテーマに、広島大学病院 診療支援部の臨床検査技師・石川舞先生から、乳房の超音波(エコー)検査で検査技師が何を見て、どう判断しているのかを学びました。乳房の超音波検査を担当されている先生で、実際の検査動画やクイズも交えながら、超音波画像の「白と黒の世界」を案内していただきました。

超音波は人の耳には聞こえない高い周波数の音で、プローブ(体に当てる機械)から出した音の跳ね返りを画像にする検査です。被ばくがなく体への負担が少ないため、妊娠中や授乳中の方も受けられ、リアルタイムで観察できることが大きな利点と説明されました。検査中に腕を上げ、背中にタオルなどを入れてもらうのは、柔らかい乳房を薄く均等に広げて隅々まで観察するためで、つらいときは遠慮なく伝えてほしいということです。画像では、超音波が伝わりやすい脂肪は黒っぽく、伝わりにくい乳腺は白っぽく写り、しこりの多くは乳腺の中に黒っぽく見えると紹介されました。

しこりを見つけると、大きさ、形、境界、血流、硬さを順に評価します。円形や楕円形は良性のことが多く、多角形や不整形では悪性の可能性が高くなります。境界は「輪郭をペンでなぞれるか」が目安で、ぼやけている場合は浸潤(がん細胞が周囲の組織へ広がること)を疑う所見になるということです。血流や硬さはあくまで性質を推測するヒントで、それだけで良性か悪性かを決めることはないと説明されました。

マンモグラフィとの違いも示されました。乳腺の多い「高濃度乳腺」は日本人の40歳以上の約4割とされ、マンモグラフィでは乳腺も病変も白く写るため病変が見えにくいことがありますが、超音波では黒い塊としてはっきり見えることがあります。また、術前化学療法(手術前の薬物療法)の効果判定にも使われ、全摘後でも皮膚や筋肉、脇のリンパ節などにまれに再発することがあるため、定期的な検査が大切ということです。

一方で、超音波には苦手な分野もあります。カルシウムが沈着した「石灰化」はマンモグラフィが得意とする所見で、超音波では白い乳腺の中から小さな白い粒を探すことになるため見つけにくく、検査技師2名でダブルチェックすることもあると紹介されました。検査ごとに得意・不得意があり、特に高濃度乳腺ではマンモグラフィと超音波の併用が推奨されています。質疑応答では、PET-CTは全身の広い範囲で病気の状態を把握する検査、超音波は当てた部分を詳しく確認する検査という違いが、司会の笹田伸介先生から補足されました。

最後に先生は、同じところを長く見られると不安になるかもしれないが、私たちも一生懸命検査をしていると話され、気になる部位は検査前に、不安なことは検査技師にも遠慮なく声をかけてほしいと呼びかけられました。乳房を意識して生活する「ブレスト・アウェアネス」を心がけ、乳房の状態を知り、変化に気づき、すぐ相談することを大切にしてほしいというメッセージで締めくくられました。

次回、令和8年11月7日(土曜日)の第178回まちなかリボンサロンは、日東電工株式会社 尾道事業所の甲斐あずさ先生(産業医・乳腺外科医)にご講演いただく予定です。テーマは決まり次第ホームページでお知らせします。
次回もZoom配信にてお届けする予定です。ぜひご参加ください。